第38回東電株主代表訴訟傍聴記

2月7日

前回期日のご報告です。


第38回口頭弁論期日報告

 1月29日発売の『AERA』に「東電は2002年の段階ですでに津波対策を保安院から要請されていたのにそれを拒否していた」とする添田孝史さんの“スクープ”が載った。

 この記事が出た直後2月1日の期日。この日はタイムリーなことに、学習会の講師に添田さん本人が招かれていたため大勢の来場があるのではないかと予想されたが、折からの寒さのせいか(?)傍聴者の数が伸びなかったのは大変残念だった。

 他にも残念だったのは、刑事裁判で出てきた書証について、株代訴訟への取り寄せが期待されていたのに、刑事の法廷が「原子炉等規制法による核物質防護情報にあたる可能性があり、取り寄せに応じるか否かの判断を慎重に行っているところである」として、当面応じなかったことである。

荒廃した事故原発においては事故の原因究明こそが必要であり(事故の責任も含む)「防護って何から何を防護よ?」という気もするが、それはさておき、裁判所としては「優先的に開示を求めたい資料等については繰り返し刑事法廷に求めていくので、項目と根拠を説明してほしい」ということで、原告側から上申書を提出することになった。

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 さてこの日は、被告である勝俣氏・清水氏から自分たちの責任を否定する書面が提出されたとのことだった。

 またすでに新事実を加えて充実してきている「事実経過表」につき、内容ごとに被告たちから反論の理由があれば付け加えるか検討するように裁判長から指示があった。「被告たちはこのままだと自分たちの不利になると理解したのだろう。言い分を出してこようというのは良いことだ」と海渡弁護士は評価している。

 原告からは1月30日付け準備書面(32)が提出された。これは刑事法廷での審理計画や東電の上津原勉証人(事故当時東電の原子力設備管理部・部長代理)の尋問によって明らかにされた事実をまとめたもの。ここで整理されていることは3点あった。

 1点目は、「10メートル盤に10メートルの防潮壁を築くことは工事が困難であった」とする東電の今までの主張にもかかわらず、「困難とはいえ不可能ではない」という上津原氏の証言を得たことである。

 2点目は、2008年に東電内土木グループによって提示された15メートルを超える想定津波高さに対して「違和感を覚えた」との上津原氏の証言が、指定弁護士(検事役)の尋問によって「今まで指摘されたことがないという以外には、違和感に具体的な根拠があったわけではない」というのに過ぎないことがはっきりした。

 3点目は、東電が主張する「南側に防潮壁をたとえ作っていたとしてもそれでは足りず事故の発生は回避できなかった」について、指定弁護士側からの尋問の中で上津原氏が「(具体的な防潮堤についてはいろいろな)検討を踏まえて設置場所が決まっていくことになる」と証言したことである。つまり東電設計のシミュレーションだけでどこに防潮堤を設置するか決まるわけではないということだ。

 こうして、東電側がいたずらに津波への対策を引き延ばしてきたことが少しずつ裏付けられている印象をもった。

 最後にこれ以降の期日の指定について、すでに前回までに3月22日(木)午前10:30~が決まっていたが、新たに5月17日7月5日が加わった(ともに午前10:30から)。

学習会の報告

 内容についてはUPLANの三輪さんがアップしてくださったYouTubeの動画を参照していただきたい。また添田さんの著書『東電原発裁判――福島原発事故の責任を問う』(岩波新書)をぜひお読みいただきたい。

 それにしても添田さんは嘆いていた。「刑事裁判が始まって新事実がもっとどんどん出てくると思っていたがなかなか出てこない。知りたいことへのアクセスに大きな制限がかかっている」

 添田さんによると、取材で遭遇する困難が以前に比べて大きくなっている、以前はアクセスできていた情報でさえ時がたつにつれて非公開になっていたり、黒く塗りつぶされて出てきたりする、政府事故調の報告書は肝心なことを隠そうと腐心しているようだ、そもそも集められた証言には委員にすら開示されていないものがあるらしい(政府事故調の委員の一人だった柳田邦男氏と話してそう確信した)、情報開示を追求していくと、いたる所で壁が立ちはだかるのを実感する、とのこと。※添田孝史さんの当日プレゼン資料 (pdf化しています)

 お話の後は添田さんと弁護団の甫守弁護士との対談になった。

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 甫守弁護士は「ジャーナリストはもっと取材して情報をどんどん発掘してほしい」と添田さんに注文。例えば、東京新聞が1面で報じた、大飯原発の基準地震動の算定が不十分ということは、以前に準備書面でも書いているのに、報道されなかった。このようにジャーナリストが取材して報道してくれなければ情報が埋もれたままになってしまう。「こんなに大きな事実が出てきたのになあ」と残念に思えることが、裁判官からもジャーナリストからもみすみすスルーされてしまっている。大事な情報を読み取る目を養うようがんばってもらいたい、と発言。添田さんは「そう思われるんだったら弁護団も食いつきやすくして情報を出してくださいよ」とリクエスト。すると甫守弁護士は「準備書面での主張を、わかりやすく料理してあげないと食べてもらえないんですね。それでは気を付けることにします」と皮肉(?)のジャブ。それにしても弁護士さんたちって沢山コマをお持ちだったんだ。法廷のやり取りで一体何が進行してるんだか見えていない外野席にはストレスが募る。

 しかし弁護士さんたちでさえも、同時並行・全国で進む刑事・民事の個々の裁判で一つ一つ明らかにされていく事実をすべて把握できるような状況にはないらしい!! 福島原発事故の損害賠償請求の弁護団が連絡会を作って情報共有化の努力をしているが、そもそもすべての裁判が連絡会に加入しているわけではないようなのだ。

 目隠しをされて巨象を撫でまわしようやく断片的な事実を得ているような状況の中で、ではどうやって事故の真実を見つけ、同じ過ちを再び繰り返さないことができるのだろうか? 添田さんの努力と分析力に瞠目しがんばっていただきたいと期待すると同時に、私たち自身ももっと勉強し知る努力をしていかなければならない(それこそがジャーナリストたちの仕事を支えることにもなる)と深く反省させられた学習会であった。毎回出席できているわけでもなく、複雑に積み重なっていく展開、登場する人物とその役職を追っていく気力も努力もないまま、漫然と傍聴席に座っているだけの自分であったからなおさらであった。

 「いいですか、これから刑事(本件被告の勝俣らの強制起訴事件)の展開はすごいスピードになりますよ(6月15日の第17回まで公判期日が指定された)。ついてくる準備はできてますか?」最後に甫守弁護士からのハッパである。

(報告・N.H.)

第38回口頭弁論期日の後の会見、報告&学習会の動画と感想

2月5日

前回期日等の感想と動画についてご紹介します。

●M.S.さん(福島県田村市)
・傍聴
初めて株代の傍聴に来ました。
裁判長が気さくな感じの人で、意外でした。
海渡先生が熱をもって主張されている姿が頼もしく感じられました。
・報告会&学習会
講師の添田さんの持つ膨大な情報と、甫守先生の分かりやすくユニークな解説で、今まで何となくボヤッとしか理解していなかったことが、くっきりしてきたような感じがしました。
対談も非常に良かったです。

●I.Y.さん(東京都世田谷区)
・傍聴
原告側の口頭での陳述があって良かった。
被告側にも口頭での陳述をさせてほしい。
・報告会&学習会
添田さんの追求のすばらしさ、これからもよろしくお願いします。
甫守さんとの対談、難しい問題点が分かり、親しみを感じました。

●Y.K.さん(埼玉県川口市)
今日も、いろいろ勉強になりました。(政府事故調が検察主体だったこと等、東電の隠ぺい体質)

●G.N.さん(東京都港区)
司法に望みを託し、正義が実現されることを、ちょっと期待したいと思った。

感想文は報告&学習会で配布した受付票から紹介しています。ご協力ありがとうございます。文章の趣旨を変えず、事務局で手を入れさせていただく場合もあります。

以下、記者会見と報告集会の動画です。
Uplanさん、いつもありがとうございます。

本日の期日提出書面

2月1日
本日は東電株主代表訴訟、第38回口頭弁論期日でした。
寒いなか、ありがとうございました。
提出書面等をアップします。
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期日後の学習会 添田孝史さんと甫守一樹弁護士(参議院議員会館)

原告
平成30年1月30日付け準備書面(32)-刑事事件第2回公判期日で明らかになったこと
平成30年1月30日付け意見陳述書-刑事事件第2回公判期日の報告
被告(勝俣恒久,清水正孝)
被告(勝俣恒久,清水正孝,小森明生,武藤栄,武黒一郎)
平成30年1月23日付け事実経過表 

次回期日等
3月22日(木)午前10時30分 口頭弁論期日(東京地方裁判所103号法廷)
5月17日(木)午前10時30分口頭弁論期日(東京地方裁判所103号法廷)
7月5日(木)午前10時30分 口頭弁論期日(東京地方裁判所103号法廷)

次回2018年2月1日口頭弁論期日

1月23日
次回の口頭弁論期日についてお知らせいたします。改めて、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


2月1日(木)10時半 第38回口頭弁論期日 

▼チラシ(以下、PDFファイルが開きます)
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今回の期日では、原告側より、1月26日(金)に実施される、被告勝俣、らの刑事事件の第2回公判期日での証人尋問によって明らかになった事実についての説明を海渡雄一弁護士が行う予定です(1月30日の進行協議期日において、正式にきまります)。
多くの方に傍聴に来ていただき、この訴訟の社会的関心の高さを示すとともに、未だ福島第一原発「事件」の被害は続いていることを裁判所に対してもアピールできればと思います。
周りの方にもお誘いのうえ、ぜひご参加してください。

期日後には報告集会&学習会を予定しています。学習会では、『東電原発裁判』を出された添田孝史さんに「”予見不可能
は本当なのか」と題してお話しいただきます。お話の後、甫守一樹弁護士との対談も予定しています。ご期待ください。
【スケジュール】

9:30~ 原告によるアピール ※都合により今回はアピールは中止※10時半からの法廷に向かってください

     東京地裁正面玄関前(霞が関駅A1出口を出て裁判所に向かう通りの前辺り)
     ▼東京地裁
     東京都千代田区霞が関1-1-4(地下鉄東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」A1出口から徒歩1分,地下鉄東京メトロ有楽町線「桜田門駅」5番出口から徒歩3分) 
     ▼地図
     http://www.courts.go.jp/tokyo/about/syozai/tokyotisai/index.html

10:30~ 第38回口頭弁論期日

        東京地裁103号法廷

12:30~、報告会&学習会

裁判報告:甫守一樹弁護士
学習会講師:添田孝史(サイエンスライター)

添田さんの講演後、甫守弁護士との対談。

●会場:参議院議員会館 B104会議室
   (裁判所から地下鉄で1駅)
・申し込み等不要・無料

第37回東電株主代表訴訟傍聴記

12月27日
前回の期日のご報告です。

 冬晴れの12月21日(木)、朝の冷え込みも和らいだ午後1時半より、いつもの103号法廷で第37回口頭弁論期日が開かれました。
 この日、原告側からは準備書面(29)「法令違反、津波の予見可能性について」、同(30)「被告勝俣、同清水の任務懈怠について」、同(31)「被告武黒ら第7・第8準備書面に対する反論」及び甲223~277号証の4を提出し、被告側からは補助参加人(東電)の第24準備書面(原告の第28準備書面への反論)及び丙170号証の1~4と17年12月13日付の事実経過表が提出されました。
裁判長は、被告勝俣らに対し原告準備書面(30)についての反論、被告全員に対して、原告準備書面(29)の法令違反の主張について、必要なら1月23日までに反論を出すように指示し、事実経過表についても同日までに必要事項を埋めるよう求めました。また、東電が提出した資料(丙167の1、丙168の1)の白塗り部分(他社の対応状況)を明らかにするよう原告側が求めていた点について、検討結果を尋ねたところ、東電は「他社の秘密事項なのでやはり難しい」と拒否回答でした。
一方、原告側に対して裁判長は、準備書面(31)について「明治三陸計算結果を受けて」何メートルの津波を予見すべきだったというのか、原告の準備書面(22)と関連して、具体的に定義するよう求めました。これに対して海渡弁護士から、刑事事件で明らかになっていくことを踏まえつつ、次々回までに提出すると回答したところ、裁判長は、3月16日の進行協議の1週間前までに出すよう指示しました。続いて海渡弁護士が、前々回に刑事事件の書証を出すよう求めた文書送付嘱託について裁判所に進捗状況を質しましたが、まだ刑事裁判所と協議中とのこと。「今の段階で、当裁判所で決定を出すことができないのか?」との追及には、「刑事裁判所の意見を聴きながら進めた方が柔軟性を持てる」という回答にとどまりました。
 これらのやり取りの後、甫守弁護士が、今回原告が提出した準備書面(29)、(30)、(31)について、説得力のあるプレゼンを行いました。
(29)については、関係法令を整理し、東電および旧取締役らに高度の注意義務があることを踏まえたうえで、今年になって出された前橋、千葉、福島の国家賠償等請求訴訟の地裁判決が、いずれも長期評価に基づく予見可能性を認めていること、前橋と福島の判決では、東電は安全より経済合理性を優先し「強い非難に値する」としている点を強調しました。
(30)では、勝俣、清水は中越沖地震対応打ち合わせで何度も高い津波が襲う可能性を聞きながら何の対応もしなかったこと、勝俣は福島原発モニター・木幡氏の「津波に備え非常用電源設備を高台に移して欲しい」との要望に「コストがかかる、簡単にできない」と対応していたこと、さらに会社法上義務付けられている内部統制システム構築義務の一つとして東電は「リスク管理委員会」を設置して対応しているが、国会事故調や東電の改革プランでも指摘しているように、シビアアクシデントを引き起こす津波などの事象や、事故発生自体をリスクととらえず、原子炉の停止を経営リスクと認識していたこと、自ら安全文化の醸成と言いつつ何もしなかったことは、明らかに内部統制システム不整備による善管注意義務違反、保安規定遵守義務違反であると主張しました。 
 そして(31)では、武黒、武藤らの結果回避措置に関する主張に反論しつつ、原子炉を止めていればもちろん、東電事故調が示した4つの対策を実施していれば本件事故は回避または大幅に軽減できたと主張。実際、東電の土木グループが武藤氏らに示した資料には「O.P.20m 10m盤に約10mの壁が必要」と記され、敷地南側だけでなく南側側面から東側全面を囲う防潮堤の図が示され、検討されていたこと、建屋等重要設備の水密化についても東電内部で度々検討されていたこと、非常用電源設備等の安全上重要な設備や機材を高台に設置すること、種々のソフト面での対策は1~2年で可能であることなどを示し、武黒、武藤らが明治三陸の試算結果から大津波を予見し、対策も検討されていたにもかかわらず、それらすべてを怠ったことが事故を引き起こしたと結論付けました。
 以上で当日の予定は終了し、裁判長が3月までのそれぞれ2回の進行協議と口頭弁論の期日の日程を確認し閉廷となりました。
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【記者会見】

 記者より、文書送付嘱託と東電の出した資料の白塗りについて質問があり、海渡弁護士から「裁判所は刑事裁判所と何の協議をしているのか、早く出してほしい」「事故前の東北電力女川原発や日本原燃東海第2原発が地盤のかさ上げなどの対策をしていたのに、東電はやらなかったということを出したくないので、企業秘密などと言っているのだろう。原告側から送付嘱託の申し立てをすることになると思う」と見解が示されました。

【報告&学習会】

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 報告会で説明に立った甫守弁護士は「福島原発事故は本来東電に無過失責任があるが、いったい誰が責任を取ったのか。民事においてもそのことをきちんと歴史に刻まねばならない」と前置きし、前述の裁判の内容について非常に分かりやすく解説しました。ここで、甫守弁護士も刑事事件の書証を求める文書送付嘱託申立の判断を遅くとも年度内には出してほしい、また東電資料の白塗り部分については再度原告側文書送付嘱託の申し立てをするつもりであると述べました。裁判所が予見対象の津波を具体化するよう言ってきている点については、証拠が東電側から出ていない時点ではなかなか難しいとし、裁判所が3月中というのは、年度明けから証人尋問をやりたいということかもしれないと述べました。が、私の浅い理解では、何故、具体的な津波高にこだわるのか、逆に裁判長は結果回避可能性を生じさせる津波高をどのラインと考えているのか知りたく思いました。
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 学習会は、たんぽぽ舎副代表で原告の山崎久隆さんを講師に、「福島第一原発事故と柏崎刈羽・新規制基準『適合』を問う」と題して行われました。山崎さんは18ページもの詳細な資料とパソコンに収められた膨大なデータを駆使し、フクイチの汚染水の垂れ流しの状況と、柏崎刈羽の再稼働の審査が、東電と規制委員会の嘘とごまかしで無理矢理OKを出したものであることを、明らかにしてくれました。内容を要約することは、私の手にははるかに及びませんが、東電がやっていることは事故前と全く変わらず、再稼働などとんでもなく恐ろしいことだということはよくわかりました。(原告 まめこ)
プロフィール

NoNukes0311

Author:NoNukes0311
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