第33回口頭弁論期日の傍聴報告

6月9日
6月1日の第33回口頭弁論の傍聴報告です。

 9:30地裁前行動では、原告の一人で福島原発刑事訴訟支援団の武藤類子さんから、検察審査会の起訴議決受け強制起訴された、勝俣らの刑事裁判の第1回公判が6月30日に決まったことの報告がありました。また、避難・自主避難をしていた人たちへの住宅支援手当が2017年3月末で打ち切られ、福島の状況はますます深刻になっているとのお話がありました。

【第33回口頭弁論概要】

10:30裁判官が入廷し、裁判長の「おはようございます。では始めましょう」の言葉で開廷しました。
■ 前回以降の準備書面等の確認
(1)原告 5/25付証拠申出書。5/31付 請求拡張申し立て 本日送達済み。
(2)原告準備書面 5/19付 (22)、(23)、(24)の3通。(22)、(24)は陳述。(23)は裁判所と原告ら、被告ら、補助参加人で主張骨子整理案の補充整理を行うが、弁論調書に添付予定で、未確定なので陳述は行わない。
■ 準備書面(22)について
(1)大竹裁判長は、進行協議のなかで議論したことであるがとして冒頭部分を読み上げた。「本件事故と基本的には同様の因果経過を辿って本件事故のような事故が発生するとして、予見可能性については概括的なもので足りる」としていることについて、一つの見解としては裁判所としても理解できるが、「本件事故と同様の因果経過」の内容の基本的、概括的なところをより具体的に主張しないと、結果の防止行為・回避行為を基礎づけるに足りるかを、裁判所として判断できないことになるのではないか。また、本件事故と同様の因果経過を辿ってという、この因果経過次第では結果回避義務に影響を与えるのではないか。この2つの問題意識を持っているとのことで補充を求められた。
 原告側の海渡弁護士は、「重要な宿題をいただいた」とし、因果関係について具体的補充を行う旨了解した。大竹裁判長は、原告側から補充してもらい、合わせて被告ら、補助参加人に反論してもらい進めて行くのが良いのではないかとした。原告からの補充は、進行協議で打ち合わせた7/7期限でよいかとの確認があった。
(2)被告ら・補助参加人は、次回進行協議の1週間前の7/7までに、原告が補充したもの及び今回陳述したものを含め、次々回にむけて準備することを確認した。
■ 原告側書証(甲215~219号証)、および人証申請(7名)の提出を確認した。
原告側申請は被告ら5名、および証人の酒井さん、高尾さん。これは主張整理が煮詰まった段階で、被告ら・補助参加人の意見を聞き、被告らの人証はどうするのか議論して、どうするのか決めていくことにする。
■ 被告ら・補助参加人側の確認
 被告らは請求拡張について次回までに対応する。原告らが7/7までに補充した準備書面(22)、(24)への認否等、反論をすること、期限は次々回まで。準備書面(24)の中で、事実経過表について原告がいくつかの事実を加筆した。原告側が加筆したので、その部分に対して被告ら・補助参加人側は認否と反論をする。裁判所としては、原告の主張を左に、被告ら・補助参加人の主張、反論を右にという対照表の形に作りたい。裁判所から今までできたデータを原告側代理人に渡し、原告側が今回加筆した部分に対して補充をする。そのデータを被告ら・補助参加人側は認否と反論を行う。
  補助参加人に対して、原告らが提出要請をしている書証に関して、検討するということだったがその結果はどうか、との裁判長の質問に対して、同じく7/7までに準備するとの回答があった。すかさず海渡弁護士は、前倒しで出せるものは全て出して欲しいと要望した。
 裁判長からも、書証の提出要請については、まず事実経過表を完成して、どのようにするか確認したい。また、被告勝俣らの刑事事件の第1回公判期日が6/30となったが、刑事裁判の進行も見据えながら、原告の要望通り出ないとどうするか検討することになるとコメントがあった。
■ 河合弁護士より、請求拡張の申し立てについて趣旨説明
 損害賠償請求額を22兆円に増額した。12/20に経産省の東京電力改革1F問題委員会で試算した損害額22兆円が根拠である。内訳としては東電が16兆円、国が2兆円、新電力の託送料金上乗せで4兆円。しかし国の負担は、東電株を現状の5倍の金額で売却することを前提としており非現実的である。託送料金上乗せも不当なものであり、22兆円は全て東電が負担すべきものだ。
 22兆円は巨額である。たった一度の事故で、国家予算の22%、税収の40%強を失い、裁判所の費用全体3,000億円の70年分を失ったことになる(法廷内から、抑えてはいましたが、あらためて驚きの声や失笑があがりました。裁判官は苦笑いしているように見えました)。また民間シンクタンクが発表した損害額試算は最大70兆円であり、22兆円でとどまる保証はないとした。
■ 甫守弁護士より、準備書面(22)の事故の因果経過に関する補充説明
 本件事故をあらかじめ詳細に予見することも、因果経過を詳細に予測することも不可能であり、結果回避措置を明らかにする程度の概括的な予見可能性で足りると考えているが、裁判所からより具体的な因果経過についても述べるよう指示があり、前橋地裁の判決も踏まえて、津波による10m盤の浸水による電源喪失の過程などを具体的に示してゆく。
 また、被告の過失を裏付ける予見可能性については、必ずしも原発に詳しくない取締役についてまで事故の経過の詳しい予見は難しい面もあり、その点も考慮しながら明らかにしてゆく。
■ 海渡弁護士より、準備書面(24)の耐震バックチェックに関する補充説明
 耐震バックチェックに期間の限定があったかどうかという問題がある。2005年頃原子力安全委員会は、各事業者の担当者を集め保安院も交えて、耐震バックチェックは3年以内、定検2回以内、それがだめなら原子炉を止めて再審査しなさいとしている。国会事故調の報告書でも、電事連は2006年の2月に保安委員長と意見交換を実施したが、保安院側からバックチェック3年は長い、対外的にこれが適切と言うのは難しいとされている。原子炉の稼働を止めても行うべきとの前提であったことが明らかになっている。期間は無期限ということはありえず、3年を経過した場合は、一旦原子炉を止めることが前提となっていた。
 本件においては、2008年7月の段階でこの計画を反故にし、稼働率を優先させて土木学会に検討依頼をしているという口実で、耐震バックチェックの終了時期を大幅に遅らせてしまっている。これらが同時に起きていること、これらが重大な過失であると考えている。
■ 大河弁護士より、人証申し立てに関する説明
 5/25に7名の人証申立てをしている。勝俣、小森、清水、武藤、武黒の被告5名に加えて証人を2人、東電の土木調査グループであった酒井さん、高尾さんを追加した。酒井さん、高尾さん、被告武藤については重点的に尋問を予定している。6/30以降の刑事裁判の進行によっては、人証、尋問の増減もありうる。
(裁判官3人による若干の協議)
■ 裁判長のコメントがあり閉廷
以下の裁判長コメントがあり、11:15閉廷した。
 甫守さんのお話の中で、予見可能性の文脈の中で原子力に詳しい人とそうでない人には、予見可能性の程度に違いがあるとの趣旨の説明があったと聞き取れた。書面での内容ではないのでこれ以上は控えるが、いずれやらないといけないと思っている。被告5人の責任をどう考えてゆくのか、個別に予見可能性を議論しないといけない。当然被告側もそう思っていますね(と呼びかけ確認した)。抽象的概括的、一般的な予測可能の議論をまずして、さらに先に進んで、次は原子力グループとそれ以外という仕分けでいいのか、さらにそれより細かくかはわからないが、それぞれ被告ごとに予測可能性の議論をしなければいけないとは思っている。その点は裁判所としても認識しているので、次の課題として議論しましょうと、コメントがあった。

【記者会見】

 口頭弁論を終えて、海渡弁護士、甫守弁護士、木村結さん、堀江さんにより記者会見が行われました。
 海渡弁護士より、準備書面(22)の関係で、まだ書面になっていない重要なことを甫守弁護士が口頭で述べ、それは裁判所も待ち望んでいた議論であり、被告となっている取締役一人一人の予見のレベルが違うということであると説明があった。
 原子力のプロだった取締役と、原子力を全然知らない取締役に予見の違いはあるのではないか、という面白い議論になっている。また、証人調べを7人申請した。もう一つの焦点は、刑事公判に出される弁護側証拠について、裁判所も早く出すようにと被告側補助参加人に求め、補助参加人も7/7までに出すと言っている。ただ、全部出すとは言っていないので、こちらは刑事公判に出るものは全部出すように言った。6/30の刑事事件の第1回公判期日で証拠の内容が明らかになるのではと説明があった。
 
 甫守弁護士からは、この裁判は事故後の早い段階から始まったので、予見対象や津波が明確ではなかった。前橋で福島第一原発事故の損害賠償請求事件の判決が出て、ある程度抽象化しつつ、事故の重要な要素である全交流電源喪失を予測できる予見対象津波を設定するのが主流になっており、それにならおうという形で今回出した。被告への求釈明はここまでで、国賠訴訟で見られるものなので、それはいいのだが、裁判所は結果回避と絡めて予見可能性を考えている。
 あらかじめ細かいことを予見するのは無理である。ただ、全く予見できないと事故対策も進まない。なので、どれくらいの予見が必要か詰めないといけないので、前橋の判決に則ってやる。裁判所も、今日はその辺を説明したのだが、清水さんのように原子力に親しんでいない人にとって、10m盤を超える津波がどれほど恐ろしいものなのかが、自前の知識でわかる人と、部下の助けが必要な人がいると思う。しかし、部下の助けが必要な人でも、今までの津波で大丈夫なのか、どうなのかは聞かないといけない。答えが十分なものでなかったら止めるということも含めて検討しないといけないこともある。
 基本的には事故の結果回避可能性と繋がるような検証が必要と思うが、被告清水さんに対しても詳細な意見を、自前の知識を要求するのは無理だというレベルで予見対象、予見義務を設定されても困ると牽制する意味で話した。裁判所もさらに議論していきたいとしている。
 海渡弁護士より次の補足説明があった。
 清水さんは重要な会議にも出席している。津波対策はしなくても「斜面整備はする姿勢は見せなければならない」などの発言もしている。全てわからないわけではない。27名から5名に絞って清水さんを残したのもその辺にある。被告勝俣さんは会長だが、原子力の専門家でそういうことはわかっている。ただ、具体的な個人ごとに話になってくる。刑事公判が6/30に始まると、こちらの方も具体的な議論になる。あまり遠くない時期にこちらの証人調べも始まる。請求の拡張も22兆円にした。
このあと活発な質疑応答があり終了した。
 

【報告会・学習会】

 はじめに甫守弁護士から、今日の口頭弁論についての詳しく丁寧な説明がありました。
 その後、2人の講師を迎えました。斎藤貴男さんは、原発事故を起こした東京電力の歴史を取材し『「東京電力」研究 排除の系譜』の著作があります。本間龍さんは、大手広告代理店・博報堂に勤務された経験を持ち、『原発プロパガンダ』などの著作があります。斎藤さんは、夏のピーク時も電力は不足していないのになぜ再稼動するのか。これは国策であり、安倍政権にとって必要不可欠な動きである。アベノミクスの一つにインフラの輸出があり、官民一体で原発輸出をしている。国内需要では必要はないが、原発輸出メーカーのために、安全であることをアピールするために再稼動していることなどを話されました。本間さんは、なぜ電力会社は津波対策を怠ったのか、そこにはメディアが完全にスポイルされて批判的な記事を書けなかったからだ。3・11前は大量の広告費がばらまかれ黙らせた。その原発広告がどういうものであったのか、事故前と2、3年前から復活し始めた事故後の広告を比較しながら話され、現在「原発広告検索システム」のHPを作成し、40年にわたる資料をまとめようとしていることなどを話されました。その後、お二人の対談があり、興味深い話が続きました。
 

【感想】

 地裁前で、武藤類子さんから本件の被告である勝俣氏、武藤氏、武黒氏を被告人とする東電福島第一原発事故業務上過失致死傷事件の第1回公判が、いよいよ6/30(10:00~)に始まると報告がありました。そこで出される証拠から明らかになることで、この株主代表訴訟の裁判も大きく影響を受けることになりそうです。また、勝俣氏を始め被告への人証の申出がされました。裁判は、まさに重要な段階に差しかかっているとの印象を強く受けました。原発被害を受けた人たちが大変な状況を抱えているにもかかわらず、加害者である東電取締役らは何も責任を果たしていません。刑事裁判でもこの訴訟でも、彼らにちゃんとした責任を果たしてもらえる判決を出してもらえるように、ぜひ口頭弁論期日には裁判に注目して傍聴に足を運んでください。
 原告:七戸(記)
 次回口頭弁論:7月20日(木)10:30 AM 東京地裁 103法廷
プロフィール

NoNukes0311

Author:NoNukes0311
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