第7回口頭弁論期日報告

6月13日
前回の期日のご報告です。
先日ご案内しました、当日の準備書面と映像なども併せてご覧ください。




東電株主代表訴訟第7回口頭弁論期日報告

河合弁護士が「結果回避の可能性」を問う
 前回(第6回)までは、原発の危険性、福島原発事故の根本原因と東電の責任といった総論と、何年にもわたる学会、研究会の発表などで大地震と津波の可能性を予見できたことを主張してきた。今回からは、取締役(旧経営陣)が結果回避のために様々な対策をとりえたことを主張する新しい段階に入った(第2段階)。
 
 河合弘之弁護士は、パワーポイントを使って次のように陳述した。
 原発は、冷却を含めて電気に依存している。原発が停まると外部電源に頼ることになる。この外部電源が、予備としてあった東北電力からの受電も含め、地震による送配電設備の損傷によってすべて失われ(外部電源喪失)、それに代わる非常用ディーゼル発電機(D/G)も津波によって、冷却用の海水ポンプ、配電系設備ともども水没し、6号機のD/G1台を除いて交流電力の供給機能が失われた(全交流電源喪失)。辛うじて残っていた3号機の直流電源も3月13日未明に放電し、全電源喪失となった(全電源喪失)。冷却できなくなった原子炉は高温になり、ジルコニウムが水と反応して水素が発生し、1、3、4号機建屋が水素爆発を起こした。2号機は格納容器が破損し、大量の放射性物質を外部環境に放出した。
 
 被告らは、こうした結果を回避するために何をすべきだったか。被告らは、それらの対策をとることが、費用面でも技術面でも十分可能であったのに、やらなかった。

① 外部電源耐震性の強化。外部電源系統の耐震基準はCクラス。原子力安全委員会は、Cクラス設備が地震で損傷して、Sクラスの原子炉冷却系統の機能を喪失する可能性を指摘し、そのような場合には、送電施設はSクラスで設計すべきだと要求していた。しかし被告らはそれをやらなかった。

② 全電源喪失を未然に防ぐために、D/Gを原子炉ごとに2台以上設置することになっている。福島第一原発では、それがタービン建屋地下という同じ場所に同じ構造で設置していた。高所に分散して設置しておくべきだった。
1991年10月、福島第1原発1号機タービン建屋地下でD/G2台のうち1台が冠水する事故があった。
浜岡原発運転差し止め訴訟で原告は、D/Gが同一場所に同一構造で設置されていると津波による冠水の危険があることを指摘していた。東電もそのことは知っていたはず。
フランスのルブレイエ原発で、洪水で建屋内に水が入り電源喪失した。東電のタスクフォースの報告でも、同じことが起こることを考える姿勢に欠けていたと述べている。
号機間連系線も2006年に検討していたのに実施していない。事故後の4月には5、6号機から1~4号機にケーブルを敷設した。事故前にやっていれば残った6号機のD/Gで冷却でき、炉心損傷にはいたらなかったはず。
構内電源設備の耐震性、耐波性の強化。2007年7月、柏崎刈羽原発で地盤沈下によって3号機起動変圧器の冷却用オイルが配管破損して漏れ、火災が発生した経験を、全く活かしていない。
防潮堤等による安全上重要な設備の浸水防止という初歩的な対策をしなかった。事故後だが浜岡原発の防波壁や福島第二原発の土嚢による防波堤、水密扉、アメリカの原発の水密対策の例がある。

全電源が失われた後の対策として、水源の確保、減圧、独立非常用冷却設備の設置などの対策をしていれば、今回の過酷事故を「回避」できなくても軽減できた。
炉心損傷後の影響緩和対策。水素爆発を回避するためにブローアウトパネルを開閉できるようにすることを、中越沖地震における柏崎刈羽原発の経験から原告は事故前すでに東電に提言していた。ブローアウトパネルが手動で開閉できれば水素を逃がすことができた。またベント管の先にフィルターをつけておけば、ベントしても放射性物質の放出を極少化できた。
 
 結果回避のための最も根本的な処置は原子炉の停止である。原子炉が停まっていれば、今回の地震でも、原子炉冷却に必要な水の量は遙かに少なくて済む。原子炉の停止は決して非現実的ではない。大飯3、4号機を除いて日本中の原発は止まっている。浜岡3、4、5号機も3.11後菅首相(当時)の要請で中電が停めた。福島第一の1~3号機は浜岡原発より古い。しかも15.7mの津波が来る可能性が指摘される中、原告が指摘してきた対策が実施されるまで原発を停めておけば、過酷事故は起きなかった。
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 東電自身が、結果回避可能性があったことを認めている。今まで東電の社内調査結果は自己弁護に終始した報告書だった。これは国会事故調、政府事故調、民間事故調でも指摘された。東電はこれらの批判を受けて、社内に「原子力改革特別タスクフォース」を設置し、2013年3月29日に「福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン」を発表した。
 この報告で、「設計段階から外的事象(地震と津波)を起因とする共通原因故障への配慮が足りず、全電源喪失という過酷な状況を招いた」「外の安全性強化策や運転経験の情報を収集・分析して活用したり、新たな技術的な知見を踏まえたりする等の継続的なリスク低減の努力が足りず、過酷事故への備えが設備面でも人的な面でも不十分」だったと反省した。これは旧経営陣(被告ら)の報告書を完全に覆したものであり、本件過酷事故を回避または少なくとも軽減できたことを認めたものである。
 
 最後に河合弁護士は「にもかかわらず、被告ら本件準備書面で述べた対策を全く講じなかったのであるから、その義務違反は明白かつ重大である」と約40分にわたる陳述を結んだ。
 
 次回口頭弁論期日は9月26日(木)午前10時30分、東京地裁103号法廷。今回はほぼ満席と思えたが、もっともっと関心を拡げなければ、と痛感した。 

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報告集会と株主総会に向けての意見交換会
 午後から日比谷図書文化館で報告会が行われた。河合弁護士は、今日の弁論の焦点を説明された後、「今、最も重大な目的は、原発を止めること。原発が暴走すれば、他の重大な課題は吹き飛んでしまう」と締めくくられた。この裁判の役割の重さをあらためて実感した。多くの人と共有したい。
 その後、6月26日の東電株主総会に向けて意見交換会があった。今年は、株主提案の趣旨説明者が全員、女性であることを特筆したい。いつも東電側は黒ずくめで異様な風景だ。今年は執行役員に女性が1人入ったという話題も出た。(古荘 暉) 
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