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12-19第9回口頭弁論期日

12月31日
先日の口頭弁論期日の報告です。



第9回口頭弁論期日


原告によるアピール
東京地裁前で東電取締役らの責任追及をアピールする原告ら。

 12月19日、小雨降る薄暗い中を出発し、9時15分過ぎ霞ヶ関駅の階段を上って東京地裁前に着く。そこには共同訴訟参加人として訴訟に加わった前双葉町町長井戸川さんが待っているではないか。心強い仲間が増えたのである。口頭弁論のアッピールが開始され、道行く人たちにチラシを配る。快く受け取ってくれる人、拒否する人、いつものような光景が繰り広げられる。ネクタイを締めた一瞥すらしない集団がオフィス街に消えていく。これまたいつもの光景だ。
 10時35分過ぎいつものように正面の扉が開き、3人の裁判官が姿をあらわして弁論は始まった。前述の井戸川前双葉町町長他2名の共同訴訟参加人の参加確認、そして提出された書類や事前の進行協議期日を含んだ予定の確認とこれまた いつものように淡々と進み口頭弁論に移ろうとしたその時、「裁判長、その前に一言!」とわれらが訴訟代理人の河合弁護士が立ち上った。
「我々は準備書面で結果回避のために可能であった対策を具体的に述べた。それに対する補助参加人(=東電)から本日提出された反論は、あれやってもダメ、これやってもダメ、何やってもだめ、無理だったんだというものだ(ここで原告や傍聴人から失笑が漏れる)。これでは私たちは納得できない。国民も納得しないだろう。求釈明する。
 それでは、どうやったら事故は防げたのか、はっきり言ってほしい。今まで一度も公の席で言ったことはなく、言い訳ばかりだ。今すぐ答えてくれ!」。
 原告席はもとより傍聴人席からも大きな拍手が沸き起こった。今まで8回行われた口頭弁論では裁判の途中で拍手が起こるなどということはなかった。拍手をいつもは軽く制止する裁判長の合図もなかった。迫力満点の河合弁護士だった。
そして……裁判長が「さあ、どうする補助参加人さん」……とは言わなかったものの、東電側に答えを求めた。
 東電の代理人が「釈明に応じるか否かも含めて次回に答える」と小声で答える。後日、求釈明書という書面で出し、この期日の調書として残すことになった。
 次に、只野弁護士のパワーポインを使った「津波の予見可能性についての主張の補充」のプレゼンに移った。
 福島第一原発はOP+32mの高さの敷地、断崖絶壁をOP+10mの高さまで22mも掘り下げて建設された。その結果、津波が10mを大幅に超えなくてもわずかに超えただけで電源機能の喪失の危険性があったという指摘から始まった。裁判長は壁に映し出された福島原発の配置図をふり返って見ていた。そして公刊されている学術論文などで明らかにされていた「事実」を示して、地震・津波の危険性は1990年代後半からの調査・研究によって指摘されてきており、東電はこれらを知り得たこと、そして対策を取るための時間的余裕は十分あったこと、地震調査研究推進本部の長期評価を無視することなく想定していれば2002年の時点で福島第一原発に10mを超える津波が到達する危険性は察知できたはずであり、根本的な誤りは十分調査研究が進んでいた貞観地震・津波を想定から外したことだ、無視したことだと追及した。
 さらに2006年の東電本社内におけるマイアミレポートでは、50年以内に10mを超える津波の可能性が1%もあることが明らかになっている、1%の可能性というのは原発にとって大きな危険性なのだということも指摘した。
 補助参加人は第6準備書面(結果回避可能性に関する反論)で、2008年の段階で東電内部の研究によって15.7mの津波の到来が分かっていたはずだとの指摘に、「社内で検討するため参考資料とする目的で試みに行った『試算』に過ぎない」と片づけている(p.23)。
 最後に、本日引用し、証拠として提出した論文は公刊されているものであり、東電は当然目にしたはず、その責任は大きいと結んだ。
 いつものように傍聴席から拍手。11時15分終了。傍聴席にいくつか空席があったのが気になった。傍聴席が満員になることが裁判所へのアッピールにもなるだろうし、なにより補助参加人(=東電)へ、いい加減なことはできないとの圧力となるのだと思う。傍聴希望者が沢山集まり抽選券を求めて裁判所の庭を埋め尽くす、……どころか道路まではみ出るくらいになったらとふとそんなことを考えた。

記者会見 
 場所を移して司法記者クラブにおいて記者会見が行われた。この記者会見に出席した井戸川さんは質問に答えて「口頭弁論に出席することによって現実を知ることが出来た。今まで事実を知らされていなかった。心底ゆるせない思いだ。社会的犯罪にはケジメをつけてもらいたい。なぜ避難しなければならなかったのか。なぜ望まざる被爆をさせられたのか。事故前に東電はどんなことを言っていたのか。政治責任も当然だがしっかり経営責任をとってもらう」などと述べた。

報告会 
 12時半より会場を参議院議員会館101号室に移して報告会が行われた。報告会は東電株主代表訴訟事務局・木村さんの司会で始まった。初めに本日の口頭弁論のポイントを河合弁護士、只野弁護士が説明した。
 特に河合弁護士は、東電は「知らなかった」と逃げようとするが「そうはいくか!」と、良心的な学者の難解な学術論文を時間をかけ、苦労して読み込んで、それを基にして本日厳しい追及をしたのが只野弁護士だとユーモアを交えて解説を行った。
 次に被曝の影響か、風邪をひきやすくなった、疲れやすくなったという前双葉町町長の井戸川さんが挨拶を兼ねパワーポイントを使って「私が東電取締役の責任追及に加わった理由」を語った。
 最後に質問に答えて、「避難の最中のことだった。大きな音がしたと思ったら、音もなく大小の黄色い断熱材などが降ってきた。線量計は振り切れてしまい、被ばく量は言えない。後で聞いたところではそばにいた双葉署の警察官もこれで終わりかなと思ったそうだ」と述べた。
 長い一日が終わった。疲れたが勉強になりとても充実した一日だった。
(完)
原告:落合
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