東電黒字決算の問題点

6月9日
以下、東電株主代表訴訟の原告団代表の堀江さんからです。

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堀江鉄雄です。重複ご容赦下さい。問題提起です。転送・利用下さい。

どなたも東電の黒字決算について何も言っていないので、気付いた点を羅列してみました。認識違いがありましたらご指摘下さい。

東電は3期ぶりに何とか黒字になったと喜んでいます。この黒字にホッとしているのは金融機関の取締役、経産省の幹部でしょう。金融機関の取締役にとっては、破たん企業である東電への貸付は勇気のいることです。株主代表訴訟を起こされる可能性があります。

「特別事業計画」は、何度となく破たんし見直しの連続です。再稼働か、電気料金値上げかで、値上げをしたのに赤字では言い訳はできません。金融機関も貸付をしたくても出来ない状況になるのです。ですから今期は何としても黒字にする必要がありました。

<12年度、13年度決算比較:単位:億円>

     売 上  営業費用  経常損益  特別利益  特別損 (特益損差)  当期利益 

12年度 57,695 60,350 -3,777 8,924 -12,178 (-3,254) (+88) -6,943

13年度 64,499 62,979 432 18,184 -14,622 (+3,562) 3,990

差 額 6,804 2,629 4,209 9,260 -2,444 (6,816) 10,933

2期の決算書を比較すれば、売上が6804億円増収したにも拘わらず営業費用も2629億円増額となったため、経常損益は432億円に留まった。しかし、特別利益1兆8184を計上して何とか3990億円の当期利益を確保した。この特別利益の殆どは1兆6657億円の損害賠償交付金である。

この「借入金」である損害賠償交付金は、この3年間で4兆7888億円になる。利益として計上することで東電を「債務超過」から救い出し、今期は「黒字企業」へと粉飾させている。

<東電の黒字決算の問題点>

1 売上:電気料金値上げによる増収

① 12年度5兆7694億円から6兆4498億円の6804億円の増収は、販売電力量は2690億kwから2667億kwに23億kw減少しているので、増収分は電気料金の値上げによるものと言える。

② この電気料金の値上げには二種類あり、一つは為替変動による「燃料調整費」の値上げ分で、アベノミックスの円安により昨年度比で4800億円の値上げとなっている。

今一つは、昨年の電気料金の値上げである。円安による4800億円増額だとすれば、値上げ分は2000億円ということか。

③ 売上で問題としなければならないのは、一般電気料金と企業用電気料金の販売単価が異なることと「総括原価方式」である。交付金(損害賠償)の返済金である「一般負担金」は、一般電気料金にしか加算されない。

④ 東電は、売上(増収)のため東京に本店のある企業の本店を通じ、売電の全国展開をするという。増収が増益になるとは限らない。電力自由化で価格自由競争に本当に突入できるのか?

販売電力量が増えても売電単価の安い企業用は利益が薄い。東電が関西、中部で売電するには、さらに売電単価を下げる必要がある。売電単価の高い東電が売電単価(企業用)を下げることができるのか?(出来るのなら一般電気料金を下げるべきである)。

もし、出来るとすれば発電コストを下げる(経費削減)か、相対的問題として企業売電単価の下げた分を一般売電単価で上げるしかない。または、安い電力を仕入れて転売をすること以外にない。

2 経費:発電量減にも拘わらず経費増額

営業費用は、6兆0350億円から6兆2979億円へ2629億円増加している。燃料費、購入電力料、人件費(退職金)などの増額による。リストラどころか未だに談合をしているのだから経費削減にはほど遠い。

① 燃料費は、2兆7885億円から2兆9152億円に1267億円増額。

燃料の消費量は、重油・原油は6割強に減量、LNGは横ばいで、石炭は前年比2.6倍になり完全に安価な石炭にシフトした結果2020億円の燃料費削減になっている。

では、何故増額なのか。円安による影響は4830億円の増額、アベノミックスがなければ燃料費は大幅に下がっている。他電力が値上げでも赤字なのは、火力を石炭にシフトせずに円安をまともに受けた燃料費増額によるものではないのか。  

② 原子力発電費:昨年度4297億円から4699億円へ400億円増額している。

実は、この原子力発電費には、損害賠償交付金の返済金である「一般負担金(567億円)」と「特別負担金(今期はじめて500億円計上)」の1067億円が含まれている。昨年度より約700億円増額されているので300億円の減額と言うことになる。

この減額にはカラクリがある。廃炉・事故処理については1兆円をすでに引当ていることと柏崎再稼働に向けての4700億円は引当られていない。

その他、除染費用2兆5000億円、中間貯蔵費用1兆1000億円も引当られていない。この3兆6000億円は、交付金(4兆円)の交付と同時に引当ないと「債務超過」となるので引当てていない。

5兆円の損害賠償交付金と同じに追加した4兆円の交付金も、この先24~30年間と末永く「一般負担金」「特別負担金」で返済することになる。東電を破たんさせないために、着々と次世代に負債を先送りしている。   

③ 修繕費が851億円減額されている。黒字決算のために手抜き工事をしたのか、定期修繕・点検の先送りなどは「経営を優先」する東電ではありそうなこと、良く解釈をしても請求書の先延ばしによる減額ではないのか。 

④ 購入電力料:800億円の増額、地帯間購入電力料が548億円増額は何故なのか、電力は余っていたはず。

3 経常損益:決算上の形式的に事業利益432億円を何とか確保した。

販売電力量が下がったのだから、その分経費も下がらなくてはならない。それが増額している。

決算上、ここでマイナスにする訳には行かない。

東電の経費には、努力して下げられる類のものではない負債のあることを理解しなければならない。

4 特別利益:11年度8924億円が1兆8184億円に9260億円増額

① 損害賠償交付金:11年度6968億円が1兆6658億円に9690億円の増額

② 災害損失引当金戻入れ:柏崎分引当金320億円を戻入れした。これには二つの意味があるのではないか。一つは戻入れでプラスになる。今ひとつは、これを整理しないと再稼働の為の4700億円を引当てろと言われ兼ねない。

この二つで1兆円のプラスにした。ここでもズルをしている。

5 特別損失:11年度1兆2178億円が1兆4622億円に2444億円増額

① 損害賠償費:11年度1兆1620億円が1兆3956億円に2336億円増額

② F1―5・6廃止損:398億円(解体引当金不足分)

<東電の破たんは避けられない>

 東電は、黒字決算のために電力料金の値上げをして6800億円増収したが、結果は4000億円の利益に留まった。本来は利益の半分を返済するとしている「特別負担金」は500億円であり、1000億円の利益を必要としていた。そのためなのか、別の理由か東電は「特別負担金」を特別処理せずに原子力発電費に経費処理している。改正会計規則では、「一般負担金は経費処理するが特別負担金は経費処理しない」としている。「特別負担金」の隠ぺい処理だと言える。

決算処理及び書類は、市場に対して公正にして明快なものでなければならない。3・11以後の会計処理は、損害賠償、損害損失などの負債の過少評価と負債の先送りをして、東電の破たん回避をしようとするあまり非常に歪んだものとなっている。その歪みは毎年破滅に向かい拡がり大きくなっている。

 東電の販売電力量は確実に下がっている。原発再稼働がなければ、毎年4000億円の固定負債は重石となる。現在、5兆円の交付金の返済金(1067億円)、追加4兆円の交付金の返済金(854億円)も固定費となる。

<石炭火力の役割はないのか>

原発ゼロを維持するための手段として、石炭火力の活用による経済的側面とCO2問題を議論しても良いのではないのかと思います。石炭火力のCO2排出削減技術は、かなり進んできていると聞きます。この技術は、日本だけでなくアジア諸国の原発依存を変えることもできるのではないかと思うのです。

ベストミックスではなく原発をはずしたベターミックスを考える必要性です。

原発・CO2ゼロへの過程、道筋での役割として、豊富であるが故に安価である石炭を考慮してはどうかということです。気候関係の方々は絶対拒否だと思いますが議論する価値はあると思うのです。

<分社化を先行する東電>

東電は破綻企業でありながら破たん企業だからこそ「電力改革」とする発送電分離を先取りする形で分社化を実行しています。それは原子力利権構造を維持しようとするものではないでしょうか。

原子力利権構造の維持は、「東電の存続」及び「再稼働」によって担保されます。破綻企業東電を存続させることの難しさは、会計規則を捻じ曲げていることに象徴されます。損害賠償と損失の負債は、年々付加され破綻を免れることはあり得ません。その東電を「存続」させるのには、「東電解体」しかなくなりました。私は11年から「東電解体」を言っていましたが、最近は「破綻処理」としか言いません。

つまり、いずれ分社化をするのであるなら「負債も分社化」しようというのです。損害賠償の負債は「バッド東電」国民・消費者に、金融関係の負債は「グッド東電」に継承(電気事業法改正による子会社の社債発行)するのではないでしょうか。東電の分社化は、電力改革の発送電分離を巧みに利用した東電の「負債の分社化」だと思えるのです。

そして全電力の分社化でも巧みに利権構造を再構築するはずです。

以上

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