第16回口頭弁論期日報告

3月22日
前回期日の報告をアップします。


3月19日の第16回口頭弁論の傍聴報告です。
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 裁判官が入廷し、最初に「私の声が小さく聞き取りにくいということで反省しました。聞こえなかったら挙手してください。では始めましょう」と軟らかい雰囲気で始まり、いつも通り提出書面の確認から陳述に入りました。


【第16回口頭弁論概要】
■ はじめに、金 裕介弁護士が、前回第15回口頭弁論期日に補助参加人が提出した「第10準備書面」に対する反論として、「準備書面(11)」に沿って、以下大きく5つのポイントについて、要点をまとめたスライドにより具体的な根拠を示しながら、口頭陳述をおこないました。

(1) 補助参加人が土木学会の「津波評価技術」を、専門家の英知を結集して策定されたと権威付けし、あたかも唯一の規制基準のように捉え、被告らがこれに従ったのは当然と主張するのは誤りである。「津波評価技術」は単なる一民間機関が策定した技術基準に過ぎない。過半数が電力業界という偏った策定メンバー構成をはじめ、策定に要した研究費や審議のための費用全額が電力会社からの支出など、規制基準に必要な要件を満たしたものとはいえない。

(2) 補助参加人は、地震調査研究推進本部(推本)の「長期評価」は、過去に津波地震の発生が確認されていない福島県沖について津波地震発生の可能性を示したものではないと主張するが、「長期評価」は政府見解であり、想定することが適切な津波地震の試算結果を把握しながら、被告らは対策を講じなかった。「長期評価」は今に至るまで撤回・修正はなく、これを無視する理由はない。新耐震指針は長期評価に基づく結果の対策を要求している。

(3) 福島県沖海溝沿いにおける津波地震の発生を予測した専門的知見(政府見解)も存在していた(「七省庁手引き」)。延宝房総沖地震(M8)クラスが福島第一原発付近で起きる可能性が示されており、補助参加人自身もその場合の津波高さを試算し、O.P+13.6mの結果を得ている。しかも数値解析の精度は「倍半分」(2倍の誤差がありうる)との専門家の発言もある。電事連も福島第一原発が日本で最も津波に脆弱であると認識していた。

(4) 「長期評価」の見解は多くの機関(政府・民間)で採用されている。国土交通省のGPS波浪計の設置時の想定や、東北地方整備局の調査、河川局のガイドラインなどである。また日本原電東海第二原発や東北電力女川原発は「長期評価」の見解を取り入れて対策工事を実施した結果、かろうじて事故を防ぐことができた。

(5) 補助参加人は、「長期評価」の見解について、土木学会に検討を依頼していたと主張するが、委託申請まで1年かかり、しかも回答期限を3年とするなど、明治三陸沖試算O.P+15.7mの結果を4年近く無視し、対策を先延ばししたものとしかいえない。委託研究申請は被告らの行為を免責するものではない。

  最後に金弁護士は、まとめとして再度上記の5点を総括し、東京電力の主張には理由がなく、被告取締役らの責任は認められると口頭陳述を終えました。

■ 続いて河合弁護士より、前述5点目の被告らによる「先延ばし」を再度指摘した後、進行協議で提案した内容;「ヒヤリング調書の開示をすればヒラ取締役に対する訴訟を取り下げる提案」を被告代理人側が拒否した件について言及し、裁判をできるだけ早く進行させ、真実を明らかにするために、提案を受け入れるよう再度要求しました。
 これに対して、被告代理人の釘澤弁護士より、訴訟を起こしたのは原告であり、証明の責任は原告にあり、『証拠探し:探索』はするな、とのコメントがあり、原告席、傍聴席から思わず非難の声があがりました。
 すかさず、海渡弁護士、河合弁護士が反論し、『証拠探し』の発言撤回を求め、事故の教訓はプライバシーを理由に開示を拒むべきものではなく、共有すべき国民の財産であるとしました。証拠「探し」ではなく、「指定して」開示を求めているのであり、早く真実を明らかにするために要求しているとし、やや緊迫したやりとりがありました。
 被告代理人の釘澤弁護士は、ヒヤリング調書は、開示せず責任追及に使用しないという前提で聞き取りを行っており、開示できない、拒否する、と繰り返しましたが、これに対し、そもそも原告らは訴えの取り下げ(責任追及をやめる)の代わりに同意せよと提案しており、責任追及に使うものではないとの反論がありました。裁判長から、原告側の再提案ということで、被告側は再度検討して回答してくださいとの発言があり、議論を終えました。

【記者会見】
 口頭弁論を終えて、河合弁護士、海渡弁護士、木村結さん、堀江さんにより記者会見が行われました。河合弁護士は、口頭弁論でのやり取りの様子を報告し、ヒラ取締役の調書開示の重要性に触れ、事故当初の調書なので真実を言っている可能性が大きく、釘澤弁護士は「今から本当のことを話す」と言っているが、当時の証言が大事であると説明しました。また充実した裁判のためにも、被告を絞ることで重要な人について審理していきたいと、ヒラ取締役の取り下げを提案したが同意しないというので論争したと説明されました。
 海渡弁護士からは、サイエンスライター添田孝史さんの『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波新書)、政府事故調の開示文書、国土交通省の長期評価の利用などにより新たな事実がわかった。また、援軍もあり、文書を探してくださる人もいて、裁判が面白くなっていると説明がありました。 

【報告会】
 傍聴されたたくさんの方が参加され、報告会が開かれました。用意した資料60部が無くなりコピーに走るほどの人でいっぱいになりました。最初に河合弁護士から、ヒラ取締役に対して政府事故調のヒヤリング調書の開示同意もしくは陳述書と引き換えに訴えを取り下げ被告を絞る提案は、福島告訴団の告訴、告発と密接な関係があるという話がされました。そして、裁判は面白いところに来ている。最初は政府事故調の中間報告を元に訴状を作成したが、次々と具体的なものが出てきて、裁判所も被告を絞りきちっと審理したいと思っていると感じると話されました。
 その後、今回の口頭弁論の内容にも貢献が大きかった前出の添田さんの講演がありました。今日の口頭弁論に使われた資料も多く、裁判とリンクした内容でした。

【感想】
  争点である予見可能性を判断する根拠として、「長期評価」および「津波評価技術」をどう捉えるか、すなわち予見可能性に関わる攻防が核心に迫っていることを強く感じました。被告側は意図的に「長期評価」の警告を軽く見せ、「津波評価技術」に従って安全対策を講じてきたのであり責任はないとしています。これは福島原発告訴で、東京地検が検察審査会の決定にもかかわらず再度不起訴の判断をした理由書の論理と同じです。
東電取締役ら、原子力安全・保安院らの政府事故調ヒヤリング調書開示要求(文書送付嘱託の申し立て)も新たに加わり、裁判はまさに重要な段階に差しかかっているとの印象を強く受けました。
 今回、傍聴者は70数名程度で、傍聴席の8割がたが埋まっていました。たくさんの人が福島原発事故を忘れず注目していることを、目に見えるかたちで、裁判官、そして被告側に知らせ続けることが重要だと思います。裁判は正念場です。ぜひ、これからも裁判に注目して傍聴に足を運んでください。

 原告:七戸(記)

 次回口頭弁論:4月30日(木) AM10:30東京地裁103法廷

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