5月12日
4月30日の期日報告です。
<第17回口頭弁論期日 報告>
東京電力株主代表訴訟 4月30日10:30~ 東京地裁103号法廷
いつも、裁判の始まる1時間ぐらい前から地裁前でアピール活動を開始する。私が着いたとき、横断幕が高く掲げてあるのが遠くからも見えた。
Tさんが前夜書いてくれたのだ。「東電の取締役は責任をとれ!」ひときわ目立っていた。
この日、お昼には福島原発告訴団のアピール行動もあるため、遠く金沢や福島からも原告がかけつけた。
原告の出席者22人。一般傍聴席も約100人の傍聴者でいっぱい。抽選こそなかったが、ほぼ満席だった。
裁判長から裁判官が交代したことを告げられ、弁論は始まった。
最初に、裁判長が原告側弁護団に「原告側が提出した甲89号証の予測図について、5、6号機だけがはっきり書いてあるのはなぜか?」と質問。1~4号機についても小さいけれど書いてあるのが見える、と海渡弁護士が答え、納得されたよう。また、90号証には「防波堤や水門等の防災施設や沿岸構造物による効果は考慮していない」と記載があるのに、甲89号証には、福島第一・第二原子力発電所が描かれていることを指摘。その作成された前提条件を明らかにするようにとも指示。
次に裁判長は3月29日付で、原告側が請求した文書送付嘱託の申立について、被告および補助参加人(東電)から意見を受けた上で、4月15日に採用決定したが、4月23日に「内閣官房原子力規制組織等改革推進室」(※長い!)が開示を拒否したことを報告。
そして、その不開示の理由として(1)すでに開示しているものはホームページ上で公開していること、(2)それ以外のものは情報公開請求においても不開示としている、と回答してきたことを明らかにした。
東電に対しては、丙85号証~丙90号証について、裁判所のほうで必要に応じて補充質問をすることを検討したい、5月22日までに疑問点を整理した書面を送付の予定と述べた。さらに、東電に対して、福島第一原発の地形がわかるような断面図と写真を用意するように指示。
これに対し、「今の言葉を調書に残してほしい」と海渡、河合弁護士が要望。「まだ、実際に検討していない。調書に残すほどではない。大勢の人がいる中で言ったことなので……(※信用してもらっていい!)」、と、満席の傍聴者を意識した言葉を述べた。
次に、原告側が東電に対して、証拠の丙90-2について以下のように説明を求めた。
(1)黒塗りされている名前(教授)を明らかにすること
(2)「地震および津波に関する学識経験者のこれまでの見解および推本の知見を完全に否定することが難しいことを考慮すると、現状より大きな津波高を評価せざるを得ないと想定され、津波対策は不可避」とあるが、具体的にどんな対策をしたのか、明らかにすること。
これに対して、東電は(1)教授名については、現時点で開示する必要がないと思っている。(2)対策については、第11準備書面で述べたとおりである、と回答。
海渡弁護士:1枚目の右下のかっこの中、教授の名前2人が消されている。津波の専門家だと思う。秘密にする必要があるのか?
東電側:要請については理解した。改めて検討する。
上記のようなやりとりのとき、裁判長は煮え切らない東電側弁護士に、検討を促し、渋々述べた東電の返答後、「では、原告側の2つの申し出を検討される、ということで」と満足そうに言われたのが印象的だった。
その後、海渡弁護士と河合弁護士が意見陳述した。
陳述の要旨:国土庁は、日本気象学会の協力のもと、平成11年(1999年)に、津波浸水予測図を作成し「津波災害予測マニュアル」を作ったことが明らかになった。海渡弁護士はパワーポイントを使って、予測図と拡大図を見せた。一目瞭然、わずか8メートルの津波で、福島第一の1-4号機は完全に冠水する。海渡・河合両弁護士は、「未然に事故を防止するためには10メートル盤を大きく超える津波を予見することが必要であった」という東京地検の主張には全く根拠がないことを強く訴えた。
このあと、以下の期日を指定して終了。
【今後の口頭弁論期日】第18回口頭弁論期日 平成27年6月18日(木)午前10時30分(東京地方裁判所103号法廷)
第19回口頭弁論期日 平成27年7月24日(金)午前10時30分 (東京地方裁判所101号法廷)
第20回口頭弁論期日 平成27年9月25日(金)午前10時30分 (東京地方裁判所101号法廷)
第21回口頭弁論期日 平成27年11月5日(木)午前10時30分 (東京地方裁判所103号法廷)
第22回口頭弁論期日 平成27年12月24日(木)午前10時30分 (東京地方裁判所103号法廷)
※年内にこれだけの日程を決めたということと、煮え切らない東電弁護士に返答を促すなど、裁判長の意気込みを感じる、と後で海渡・河合弁護士は語っていた。
※地裁前のアピール行動&記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=KtqRiskCt1w【記者会見】

会見で両弁護士は、今回の期日で東電から証拠を提出させるに至った経緯を強調して解説した。
「津波対策についての打ち合わせのメモを出してほしい」と要求し、裁判所も「出したらどうですか?」と言ったくれた。「いや~出してもいいのですが、それをばらまかれるのは……」。裁判所はとにかく、証拠を出してもらうのが大事でしょう、と。そこで、私たちと補助参加人との間で、証拠についての合意書を交わした。
一種の訴訟契約というそうだが、彼らはメディアにばらまかれるのを恐れている。言論の自由とか言いたいけれど、証拠を出してもらうのが肝心ということで交渉した。
その結果、えっ?とこちらもぎょっとするようなことが出てきた。記者のみなさんも見たいでしょうが、このまま証拠を見せられない(訴訟契約により)。次回の陳述で、私たちが準備書面に引用したり、模写したものを見せることはできると思うので、ぜひ、お仲間の記者さんたちを誘って傍聴に来てほしい。
原告 木村結さん:3・11から4年が経って、福島原発事故についての記事が少なくなっている。世界各国から日本政府、東京電力の対応に非難が出ている。もっと日本人は事故のことに関心をもたなければならないのに、関心が低い。メディアに事故のことが出ていないことも一因と思う。放射能のことは、いのちのこと~今の子どもたち、これから生まれる子どもたち、福島だけでなく隣接県、関東圏の人たちにも影響がある。事故の原因究明、被ばくの深刻な問題についてぜひこれからも書いてほしい。
このあと、会場を参議院議員会館に移して、報告会、学習会が開かれ、大勢の人が参加した。
【報告会】海渡弁護士:大事な点が2つ
1、東電側が津波対策に関して、当時の会議録と資料を提出した。出てきたのが一昨日なので、次の準備書面に反論を書く。
2、予測図は、添田さんが情報公開請求してくれて出てきた。今日、裁判所に証拠として提出した。8メートルの津波で第一原発の1~4号機は冠水することを示す国土庁の津波予測図。「10メートル盤を大きく越える津波を予見できることは不可能だった」という東京地検の主張が崩れた。次回は大変な展開になるので、ぜひ来てもらいたい。
【学習会 田中三彦さん】国会事故調の委員として、事故後福島原発内に入ろうとしたが、断られたことがある田中三彦さんは、今年2月、福島第一原発1号機内に「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」の一員として調査に入った。
先日新潟での会議で大きな展開があった。水素爆発は4階で起きた、という話から始まった。
専門的な話が多く十分には理解できなかったが、出席者のアンケートにも書いてあったように「難しかったが、勉強になった」というところである。詳細は動画を見てほしい。
※【院内集会】田中三彦「水素爆発は最初に4階で起きた!?」
https://www.youtube.com/watch?v=j73wFWk3arg(原告 向井雪子)
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