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第19回東電株主代表訴訟口頭弁論期日報告

8月10日
前回の期日の報告です。


第19回東電株主代表訴訟口頭弁論(2015.7.24)報告
 SH380600.jpg
 前回口頭弁論では東京電力の提出した証拠によって、「想定外の津波による原発事故」説は見事に覆された。
 今回は、「2008年7月末に被告らが津波安全対策の必要性を認識しつつも、その後3年近くにわたりほぼ無為のまま時間を浪費した」のは何故かを問い質すとともに、政府事故調ヒアリング調書の更なる開示を求めて文書提出命令申立書を提出した。相手方は次回期日までに上記質問に回答することと、「*中越沖地震対応打ち合わせ(後で詳述)」の補充書面を準備することが指示された。裁判所は次回期日までに訴訟の争点の確認や原告と被告の双方が補充すべき点などを指示する旨を述べた。原告団は、事件の真相解明への裁判所の並々ならぬ意志の表れと受け止めた。

 口頭弁論の後の記者会見では、海渡、河合両弁護士が、本日の経過と今後の展望などを説明した。原告で東電株主代表訴訟事務局長の木村結さんは、事故前から津波は想定されていたのに「想定外」が相変わらずまかり通っていることは遺憾だ、そこで一人でも多くの人に真実をわかってほしいという強い思いからチラシを作ったと語った。このチラシとは「津波は想定外ではなかった」と書籍『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない』がテーマの、カラー両面刷りの親しみやすい漫画風イラストで構成されたものだ。また、吉田調書の記事を書いた朝日新聞記者たちの窮状は午後の学習会でも触れられ、一同の胸を打った。事故から4年以上が経ち原発推進派が盛り返しつつあるなか、当訴訟の重要性をあらためて感じた。

 午後は、参議院議員会館で海渡雄一弁護士が、「東電・国の刑事・民事責任を追及する福島原発告訴団と株主代表訴訟の闘いの現段階」というタイトルで講演を行い、実は津波や事故が「想定外」ではなかったことを分かり易く解説した。概要は以下の通り:
●2002年2月に出た電事連の「津波に関するプラント概略影響評価」は、阪神淡路大震災の2年後の1997年に通産省(当時)が出した指示に対応したもので、福島第一と島根1、2号機が津波に対して最も脆弱だと指摘した。この指摘や同年に政府地震調査研究推進本部(推本)が出した、10m超の津波が福島第一を襲う危険性を示した地震予測(長期評価)、そして2004年末のスマトラ島沖地震・大津波で被災したインド南部のカルパカム原発のことなど、いずれも教訓にされていない。また2007年中越沖地震により柏崎刈羽原発内で起きた約3000か所の故障の事例なども教訓とはならず、事故は防げた/防げるだろうという慢心だけを残した。
●2008年には東京電力において15.7mの津波予測が推本試算結果を基に算出され、武藤らによって一旦は検討されたが対策は見送られた。まもなく寿命を迎える老朽原発に多大な時間や費用をかけられないと判断したのだろうか……。しかも、この試算結果の保安院への報告は2011年3月7日まで3年近くも滞った。にもかかわらず、清水正孝元社長の「想定外」という言葉の蔓延を助長した。この発言を直ちに糺さなかった保安院の責任も重い。更に、この試算結果は事故後も5か月間明かされず、8月になって読売新聞のスクープにより一般に知らされた。こうして、「想定外」は人々の記憶に留まったまま今に至る。
●一方、貞観の津波を巡っての保安院と東電の不適切な関係は、時代劇の悪代官と金満商人の悪だくみを彷彿とさせる。2006年9月には保安院とJNESによる「第54回安全情報検討会」において津波対策が不十分ならば「不作為」を問われるとする報告に対し、保安院は何らの対策もとらず東電への指示もしなかった。また、貞観津波の計算水位では福島原発の敷地高を超えると指摘する佐竹健治東大教授の最新論文は2008年10月に東電に届き、翌2009年6月の耐震バックチェック会議でも岡村行信氏(地震専門家・耐震バックチェック委員会委員)によって取り上げられたが、東電も保安院も当面の無策を決め込んだ。このとき、名倉繁樹審議官は、津波対策の必要性を何度も質す岡村氏に対し、中間報告でなく最終報告に盛り込むから津波発言は慎むよう促した。更に、小林・保安院審議官の政府事故調調書には、自身の当時の「ちゃんと議論しないとまずい」発言に対し、野口哲男・原昭吾の両審議官は「保安院と原子力安全委の上層部が手を握っているから余計なことはするな」「あまり関わるとクビになるよ」とコメントした、と記録されている。そして、2010年3月24日付で森山義範審議官が小林、野口、原審議官らにメールを送ったが、その中身は、貞観クラスの津波で福島原発が水没する危険性への対策にバックチェックでは時間がかかるなどの弊害があり……、という趣旨だった。
●2008年9月の「耐震バックチェック説明会(福島第一)」で配られた議事メモには、「津波に対する検討状況(機微情報のため資料は回収、議事メモには記載しない)」や「津波対策は不可避」などの問題表現がある。それにもかかわらず東電は、まず必要な津波対策よりも「電力で固めた言いなり組織」である土木学会 原子力土木学委員会 津波評価部会への検討依頼という時間稼ぎを選んだ。この「津波対策は不可避」などの重要情報は当時の最高幹部らにも十分伝わっていたと思われる。実際、勝俣社長(当時)以下の幹部が出席した翌2009年2月の*中越地震対応打ち合わせでは、武黒本部長(当時)と担当者の間で、「女川や東海はどうなっているのか」「女川はもともと高い位置に設置されており、東海は改造を検討中である。浜岡は以前改造しており、当社と東海の問題となっている」というやりとりが交わされた。また、そこでは、清水社長(当時)の「バックチェックと耐震強化工事を並行でやっているという姿は見せなければならないのではないか」などのとんでも発言もあった。この会議で配られたメモに見られる手書きの書き込み(「問題あり」「出せない」「注目されている」)を書いたのは誰かなどを含めた会議の詳細の解明が待たれる。なお、こうしたメモのことは福島原発告訴団の告訴に対する検察審査会の起訴相当議決がきっかけで分かった。被告らの希望で現在も未公表の会議メモを裁判所が東京電力に提出を要請してくれなければ闇に葬られるところだったが、ついに日の目を見ることとなった(もっとも証拠契約により一般に公開はできない)。
SH380604.jpg

 講演後、結審まであとどれくらいかかるだろうかという質問があった。今年最後の口頭弁論日がクリスマスイブなのでうれしい贈り物への期待が高まるが、結審まであと1年くらいというのが海渡弁護士の予想だ。これからは被告の本人尋問などを経て事件の核心に迫っていく。政府事故調ヒアリング調書の開示が進めば一層のスピードアップが期待される。

追記1:講演後に原発関係報道・出版の低調傾向についての意見・質問があったが、この間発売されている書籍として、以下の書籍名があがった。『法服の王国』(黒木亮)/『ザ・原発所長』(黒木亮)/『見捨てられた初期被曝』(岩波科学ライブラリー)/『原発労働者』(寺尾紗穂)/『シンドローム』(真山仁、禿鷹シリーズ第5弾、週刊ダイヤモンド連載開始)で、黒木氏の本は2冊とも海渡弁護士に縁のあるものだ。
追記2:今回の口頭弁論からちょうど1週間後の7月31日に東京第五検察審査会は、勝俣元会長、武藤・武黒両元副社長を業務上過失致死傷罪で2度目となる「起訴議決」を出した。原発事業者に「想定外」は許されない、と判断されたのだ。これをもって、3人の東電元幹部は強制起訴されることになった。今後開かれる刑事公判と東電株主代表訴訟の両法廷で、福島原発事故の真相と責任のありかがより鮮明になるだろう。
下線は筆者が追加
原告加藤 記

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小説名「シンドローム」の対象が違います

当日の集会で小説について質問した者です。
小説「シンドローム」は、ハゲタカシリーズで有名な真山仁さんが来月から連載予定のものです。参考はこちら↓
http://www.diamond.co.jp/book/9784478029374.html
「鷲津が次に狙うのは大震災後の電力会社。」
’腐った東京電力を買いたたく?!’

説明が下手ですいませんでした。

Re: 小説名「シンドローム」の対象が違います

ご指摘ありがとうございました。
修正いたします!

> 当日の集会で小説について質問した者です。
> 小説「シンドローム」は、ハゲタカシリーズで有名な真山仁さんが来月から連載予定のものです。参考はこちら↓
> http://www.diamond.co.jp/book/9784478029374.html
> 「鷲津が次に狙うのは大震災後の電力会社。」
> ’腐った東京電力を買いたたく?!’
>
> 説明が下手ですいませんでした。
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