第26回口頭弁論期日報告

7月20日
前回7月7日の報告です。

第26回口頭弁論期日報告

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 7月7日の期日で株主代表訴訟は大きな山にたどり着いた感があります。
 まず、裁判所の作成による「事実経過表」が完成したことです。これは原告側の時系列に沿った主張点57項目に対し、被告・補助参加人の認否を対比させた一覧表です。その最終版が完成したことで、いよいよ本格的な論戦が始まるからです。
明白な証拠がある背景事象については被告取締役等・東電側も認めざるを得なくても、津波対策をネグレクトしたという行為についてはどれも意図を否認しています。しかしその弁明は苦しいと言わざるをえません。
 たとえば大きな出来事だけでも、2002年7月の文部科学省地震調査研究推進本部(推本)地震調査委員会が「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」を公表し、その中で、今後30年以内にM8クラスの地震が起きる可能性が20%程度あるという見解を明らかにしています。これに対し東電は、推本の見解を伝えられたことは認めても、東電として対策を取る必要については、歴史的なエビデンスがなかったことを理由に否認してきています。
しかしこのような予見と取るべき対策について、IAEA(国際原子力機関)も2015年、「歴史データを参照しようとするなら、むしろ今までのデータに大きな安全係数を上乗せすべきで、その場合M9レベルの地震も予見できなかったとはいえない」と指摘しています(津波の予見可能性についての知見等を知りたいという裁判所の要望に応じて今回準備書面(19)として提出)。
 また2004年のスマトラ島大津波においてマドラス原発の非常用ポンプが水没したことや、2005年の宮城県沖地震において東北電力女川原発が大きな地震動を受けたことを踏まえ、2006年に保安院などによる溢水勉強会ができました。ここに東京電力はオブザーバーとして参加しています。これについて東電は参加と実効的な津波対策を切り離したがっていますが、対策を考えるための勉強会でなければ何のためなのでしょう?
 今日の準備書面(19)は、失敗学会の原子力工学に基づいた見解を含んでいます。その失敗学の専門家たちによると、早ければこの時点において今回の事故は予見できたはずということです。
 さらに2006年9月に原子力安全委員会が、地震学・耐震工学に関する最新の知見を反映した『耐震指針』を決定したのを受けて、保安院はこの新方針を踏まえた安全評価及び報告(耐震バックチェック)を各原子力事業者に求めました。しかし翌2007年の中越沖地震の発生を機に、保安院は更なる危機感を覚え、2009年までにバックチェックを前倒しに早め、それに基づく対策を取ることを指示するに至りました。
 以上のような背景があって2008年、東電は東電設計および社内土木グループに依頼し、長期評価に基づいて想定される津波の高さを試算させています。その結果1号機から4号機までのタービン建屋等が設置された10m盤を大きく超える15.7mに達する可能性があることが被告・武藤取締役に報告されました。しかし武藤は対策を回避するために再度土木学会に再検討を依頼し、求められていた耐震バックチェックを先送りしたのでした。
 ちなみに前述の失敗学会の見解によれば、このようなネグレクトにもかかわらず最低限の対策はなお取り得た、つまり予備バッテリー・高圧電源車・水中ポンプの用意とその使用について職員へのトレーニングを行っていれば、今回のような事故は避けられたはずだったということです。

学習会報告『甲状腺がんの多発と100msv閾値論』 岡山大学大学院環境学研究科 津田敏秀教授
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 政府および福島医大の山下俊一教授によって「福島で甲状腺ガンは発生していない、100msv/年以下では健康被害は起こらない」という原発安全神話が喧伝されていますが、事実はどうなのでしょうか。疫学の専門家である津田先生に話をお伺いしました。以下はその要約です。
 科学的知見を提出するためには約束事がある。つまり現象の観察に始まって→多様な現象のデータ化→確率分布を作成して解析→そこから法則を導く、という手順を踏まねばならない。疫学的因果関係においては、原因があるから現象があると考えては間違いである。原因は見えていないことが多い。しかし現象(病気)があるわけだから、それを観察しなくてはならない。どのくらい多発しているか、現象を観察し、考え得る原因のデータを集める。それを95%カバーする(=両端のマイナーな値を切り捨てる)分布曲線を作って分析し、相関関係をもつ原因を見つけ出す。
 原因があるから結果があるという決定論はそもそも当たるも八卦当たらぬも八卦であって、科学的な態度とはいえない。福島医大の結論はこの科学的推論の手順を無視しており、100msv以下の健康被害を見ようとしていない。科学的根拠に基づいた医学が日本に定着していないことの例である。まったく嘆かわしいことだ。
 疫学的知見から言うと、福島における甲状腺ガン・白血病・乳ガンの多発はすでに統計的に明らかだ。それも今後はますます恐るべき数値にのぼるはずだ。チェルノブイリでもそうだったが、5年目から急激に発症が増大している。福島の場合は今から増大するだろう。福島の方が人口密度が高いのだから、当然に症例の数も多くなるはずである。甲状腺の手術ができる外科医・耳鼻科医の養成を急がなくてはならない。分析し対策を取ろうとするならば当然そうなる。しかし安全神話を流布させ対策を取らなければ問題が大きくなるが、誰がその責任を取るのか? ここにも構造的な無責任体制がある。
(原告:堀浜)

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