第27回口頭弁論期日報告

9月25日
たいへん遅くなりましたが、前回の期日報告を掲載いたします。

<第27回口頭弁論期日傍聴記>
訴訟指揮強く終盤か? 文書提出命令にも意欲
浅田正文:原告、東電福島原発事故避難者
(東電等株主運動、東電株主代表訴訟、等)

 台風13号による強風・大雨の予報が出たため、恒例の東京地裁前の街宣が急遽中止になったが、期日当日(2016-09-08)の朝は風も雨もなく、トラメガはないものの有志が横断幕を掲げ、道行く人にチラシを手渡した。静かなる街宣で期日を迎えた。

 10時30分、定刻通りに開廷。台風の影響かいつもより傍聴者が少なく空席が目立つ。大竹裁判長が、今後の裁判の進行等を述べた後に、原告代理人・被告、補助参加人の代理人からそれでよいかの確認をとり、15分ほどで閉廷した。期日の時間は短かったものの、裁判長の積極的な意欲が表れた進行であった。争点が煮詰まってきた。この裁判の判決は自分が書くのだ、との強い意志を感じた。
 この雰囲気は、3年前の福井地裁・大飯原発運転差止訴訟の終盤で樋口裁判長が毎月のように期日を設定すると共に、(1)裁判所は技術論には関心がない、(2)数回にわたり反論を求めているのに何故反論できないのか、との裁判所と被告関電の厳しいやり取りを思い出させる。樋口裁判長は2014年5月21日、人格権・国富喪失に立脚した上で、過去の地震規模や揺れなどに言及し、「原子炉を運転してはならない」との崇高な判決を下した。この株主代表訴訟もそうあってほしい。以下概要。

1.期日
(1) 前回の期日で事実経過表を裁判所がまとめた。
平成28年(2016年)7月7日付で事実経過表がまとめられた。平成3年10月30日から平成23年3月7日までの57項目・A3判9ページにも及ぶもので、原告らの主張とそれに対する被告ら・補助参加人の認否が対比されてまとめられている。
(2) 被害拡張申立、9兆円超に。
本訴訟は、被告らは東京電力(株)に対し連帯して損害額5兆5045億円を支払えというものだが、その後被害額が増加している。そこで被告に責任の重さを実感してほしいとの考えから、被害額(請求額)を9兆482億1300万円に拡張申立を行なった。被害額は東電自身が発表している「新・総合特別事業計画」2016年3月期決算説明資料から算出。
(3) 文書提出命令申立
政府事故調のヒアリング調書を国(内閣府政策統括官)が管理している。平成28年7月14日に裁判所が命令を出すに当たっての質問事項を国に求め、8月31日に国から意見書(4)が出された。裁判所は更に必要なことがあるか、検討していきたい」とのこと。

2.記者会見
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海渡:(1)裁判所が事実経過表を作成し、当事者の事実についての認識を共有できた。主張も煮詰まってきた。これから、双方の主張を整理し、証拠調べに移っていくだろう。
(2)ヒアリング調書に関して、文書提出命令を出すかどうか、個人名などをどうするかを確かめているようで、大詰めを迎えている。原告側としてはインカメラ(*1)でもやむを得ないと考えている。文書提出命令が出ると思う。
河合:マスキングして文書を出すのは供述者の同意があるということ。同意があるならすべて出すべき。また文書があるか無いかも言えない(グローマー拒否)など、専門的な厳しいやり取りがあるようだ。裁判所は本気である。
木村:裁判が始まって5年にもなる。来年3月末には避難者への住宅支援打ち切りの方針が国・福島県から示されるなど生活基盤を奪われた方が路頭に迷う一方で、被告・元東電取締役らはのうのうとしている。早急に結審し、今の裁判長に判断を願いたい。
山崎:原子力規制委員会は九州電力川内原発・四国電力伊方原発の再稼働を本当に公正に審査しているのか?フクシマのような無責任社会から脱する思いも込めて原告としての主張をしている。

3.報告会・勉強会
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衆議院第二議員会館で、12:30から甫守弁護士が期日報告を行い、その後勉強会と続いた。勉強会と称して実は映画「太陽の蓋」(*2)の上映会だった。上映後に映画製作者の橘民義さんの話、続いて河合弁護士が橘さんに質問するスタイルで進められた。
橘さんは:
・映画製作の動機は、しっかりと記録に残しておきたかったことである。フクシマ関連で200~300本の映画がつくられているようだが、官邸の中を描いたものはない。劇映画形式で残しておきたかった。
・実在総理が実名で出て来た映画ははじめて。リアリティを求めた。
・事故が大きくなったのは菅総理が失敗したからと言われてきた。検証してそうでないと言いたい。
国会事故調記録、東電TV会議、現場にいた人の証言などをもとに、事実に近いものをつくった。
・石炭の国であるポーランドでも既に上映した。原発をつくることにしていたが現職大臣が迷っていた。英語版などもできている。
河合(まとめ):あの日に日本が持った恐怖と緊張を我々は忘れたのかと言いたい。

次回口頭弁論期日:10月13日(木)10:00~ 103号法廷(開廷時刻に要注意)
次々回      12月15日(木)13:30~ 103号法廷(開廷時刻に要注意)
その次   2017年1月19日(木)10:30~ 103号法廷



(*1)インカメラ:
裁判所が文書提出義務の除外文書であるかどうかを判断するために、所持者に文書を提示させ、裁判官が見分する非公開の手続き。

(*2)映画「太陽の蓋」(チラシから抜粋引用):
真実に肉薄するポリティカルドラマ130分。監督は佐藤太、木村結さんも協力。
東日本大震災~福島原発事故が起きた3月11日からの5日間。原発事故に迫る新聞記者をキーパーソンとし、当時菅直人政権であった官邸内、さらに東京や福島で暮らす市井の人の姿を対比して描く。菅内閣の政治家は全て実名で登場させ、原発事故の経過や対応を事実に沿って丹念に追う。情報が錯そうする中、極限の緊張応対にあった人間ドラマを描き、官邸内部のリアルな様子を浮かび上がらせる。原発と共に生きてきた福島の人々の葛藤、事故発生によって翻弄されるマスコミや東京に暮らす人々を切り取ることで原発と日本人の姿を俯瞰的に捉えている。
<なお、ご参考までに>
「太陽の蓋」の自主上映会費用は、99人以下の観客で1万円/回。
格安! 全国各地で上映会の広まることを願う。
以上

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