第28回口頭弁論期日報告

10月23日
遅くなりましたが、今回の口頭弁論期日の報告です。



【口頭弁論期日】
 10月13日(木)、東京地裁103号法廷で第28回口頭弁論期日が行われた。10時開廷と、いつもより30分早い始まりだったためか、傍聴席は6、7割の入りで空席が目立ったのは残念だった。というのも、今回は原告側が申請していた政府事故調の調書記録の文書提出命令申立てで大きな前進があり、原告側の準備書面(20)に基づく意見陳述も、東電側の「大津波を予見できなかった」という言い訳にとどめを刺す迫力ある内容だったからだ。
 今回の期日には、原告側から東電の津波対策の懈怠につき全面展開した準備書面(20)を提出し、東電からは前回の原告の主張への反論となる準備書面(20)、当該被告ら3グループからは原告の約5兆5億円から約9兆5億円への請求の拡張申立の棄却を求める準備書面(5)と答弁書が提出された。
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 大竹裁判長は双方に対して書面の確認をし、今後必要があれば反論をするよう指示した後、文書提出命令について経過を報告した。まず、裁判所が国(内閣府政策統括官)に対して、いわゆる黒塗りの部分とグローマー拒否(文書があるかどうかも明らかにしない)について、民訴法上の除外事由に関する資料の追加を求めたところ11月半ばに提出するとの回答があったこと、また公開されている吉田元所長、元原子力安全・保安院の名倉審査官、小林審査室長の調書の黒塗り部分について、インカメラ(裁判官のみで内容を確認し判断する)手続きを決定し、国からは10月14日までに提示するとの回答を得たこと。そしてそれらを検討後、年内を目標に提出命令について判断をしたいと述べた。長引いていた文書提出問題がようやく一歩前進したわけだ。
 また裁判長は、文書提出命令の検討と並行して、裁判所が広範な争点を整理し、骨子となる論点をまとめたものを作成し、年明けにも示したいとの考えを明らかにした。
 次に原告側が準備書面(20)に基づき意見陳述を行った。陳述に立った甫守弁護士は、東電側が国の地震調査研究推進本部(推本)の「長期評価」の信頼性が低い、確実に大津波が来るという科学的根拠を示せと主張していることに対し、そもそも、それほど確実でなければ対策しないという前提が間違いで、科学的に起きないことが否定できないなら対策をするのが当然と述べ、ここに東電の安全文化、リスクマネジメントのゆがみがあると断じた。また、東電が固執する「津波評価技術」は大津波への対策を免れるべく、自らに都合のよい手法を権威付けるため、ほとんどが電力関係者からなる土木学会津波評価部会で策定した自作自演の産物である。事故後「経営理念を優先させた」と反省も見せたタスクフォースの「安全改革プラン」でもなお、推本の「長期評価」に対し、「津波評価技術」を第三者機関が策定したかのように並立的に扱っている。が、そこの反省抜きには、反省したことにならないと指摘。東電の津波対策の懈怠は明らかであると結んだ。明快で熱のこもった陳述に、原告席も傍聴席も納得!の表情がうかがえた。
 最後に裁判長は、次回12月、次々回1月の期日を確認し、この日の法廷を終了した。

【記者会見】
 前日に文書提出命令のニュースが流れたこともあり、会見場にはいつもより多くの記者が集まり、質問もその点に集中した。それに答えて海渡弁護士は、時間はかかっているが、裁判所は文書を出そうとしない国に対し丁寧に議論を進めており、並々ならぬ意志が表れていると言明。裁判所が必要と認めて提出命令を出した場合、国は抗告できるが、当事者でもない国が出さないと言えるのか、そうさせないためには世論の高まりが必要だと、記者達に奮起を促した。原告の木村さんは、福島の人々の人生や生活をずたずたにした事故を起こした私企業を国はどこまでかばうのかと訴えた。

【報告・学習会】
 裁判の内容をわかりやすく伝えようと、今回は30分かけて甫守弁護士から報告してもらった。文書提出命令に関しては、グローマー拒否など法律が前提としていない事態にどう対応するか、大竹裁判長の度胸が問われる状況であるとし、期待されていた今年度内の判決はありえないだろうと予想。さらに今回の書面では、東電の「(福島沖で津波は)有史以来なかった」という主張の誤り、「津波評価技術」は土木学会津波評価部会の自作自演によること、タスクフォースが出した「安全改革プラン」のまやかし、1.0というありえない補正係数の問題など、今まであまり触れてこなかった点にも踏み込んだとの説明があった。
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 学習会は、おしどりマコ・ケンさんに取材報告をしていただいた。11年3月以来、東電の記者会見や県民健康調査会議の傍聴などに参加し続けている彼らの粘り強い姿勢と鋭い感性、驚くほどの情報量と知識には本当に感服するばかりで、力量的にも紙面の都合からも内容をすべてお伝えできないのが残念! 軽妙な弾丸トークから特に印象に残った点は、東電の記者会見に参加する記者が11年には100人もいたのに、今は10人程で、しかも知識の無いビギナーばかりになっていること、逆に県民健康調査会議の傍聴者は子ども達の健康を心配する地元の人達で80~90人に増えていること、凍土壁は固まらず漏えいが深刻なこと、タンクも間に合わず、漏れるので使わないはずのフランジタンクを再利用し、やはり漏れているが、放射能が微量、軽微の漏えいは報告義務を無くすなど、施設の保安規則がどんどん緩められていること、汚染水を海へ捨てることに資源エネルギー庁が困惑するほど規制庁がイケイケなこと、汚染土の量を減らすため、従来の規制値100ベクレルを、「新概念」により8,000ベクレル以下は公共事業で使うことを決め、着々と進めていること等々。最後にマコさんは、ドイツの放射線防護庁に行ったとき「妊婦や子どももいるのに、20ミリシーベルトを国民が受け入れたのか? ドイツの国民なら許さない」と言われ、「自分も受け入れたのだ!」と衝撃を受け、今後は絶対受け入れないぞー!と誓ったと話した。そして、原発推進勢力は「日本の原発は事故を起こしても大丈夫。広島、長崎を経た国民が受け入れている」という形で、さらに進めようとしているとの警告で締めくくった。これをどう受け止めるのかが、私達に問われている。貴重なお話と時間に改めて感謝! マコ・ケンさんのショーにも足を運び、応援しよう!
(原告:まめこ記)

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