訴状要約/東電株主代表訴訟

3月17日

訴状要約版を公開いたします。


取締役は会社とは委任関係にあり、会社に対して、善管注意義務及び忠実義務を負います。
そのような義務を怠り、会社に損害を与えた取締役に対し、会社に代わって訴訟を提起するのが株主代表訴訟です。

いかなる義務を取締役が負っているのか、そして、どうして怠ったといえるのか、という視点で読んでいただければと思います。
そして、このような訴訟が提起されていることを、周りの方に広めてください。
よろしくお願いいたします。

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会社法第847条に基づき

株主代表訴訟を提訴しました

ACTION FOR PURSUEING THE LIABILITY OF A STOCK COMPANY
Campanies Act article847 Action for Pursuing Liability

 私たちは東京電力株式会社(以下東電)の株式を有する株主です。過去22年間にわたり、会社法に基づき株主提案権を行使し株主総会において議案提案をしてきました。
 その中では、東電の原子力政策について問題提起を行い、原子力発電所(以下原発)の建設、運転について反対し、経営方針の変更を迫ってきました。
 2011年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」及びそれに伴い発生した津波あるいは余震による「大規模地震災害」により、東電福島第一原発事故が重大事故を起こしました。(以下、原発震災)わたしたちは、この惨状を目の当たりにして現在の取締役及び前・元取締役(以下「取締役」)について、原発の危険を認識しながら十分な対策を講ずることなく、危険地帯に原発を設置し、推進してきたことへの法的責任を徹底して究明し、その責任を厳正に追及するために株主代表訴訟を起こしました。
 以下は、株主代表訴訟の訴状の要約です。

 株主代表訴訟 訴状
                         株主訴訟 原告
 取締役が負う善管注意義務について
 スリーマイル島原発事故(1979年3月28日)、チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)、そして福島第一原発の炉心溶融及び水素爆発事故で明らかなとおり、大規模な原子力災害は事業者自身に巨額の損害を生じるだけで無く、広範囲の地域を長期間にわたり居住不能にし、職を奪い、住民に深刻な健康被害を生じさせ、また、最悪の場合には多くの人命を奪うなど、回復不可能な影響を与えます。原発における炉心損傷等の重大事故の発生を予防するための安全対策について、原発を運営する会社の取締役が負っている善管注意義務は、通常の企業の経営者に要求される善管注意義務よりも遙かに重いものといえます。かかる状況を生じさせたことからくる東電の責任ないし損害は、極めて重大なものにもかかわらず、取締役は以下に述べるとおり、善管注意義務に違反して、本件過酷事故を招いたものといえます。

 包括的責任原因
 東電取締役は、地震大国である日本において、原発を設置・推進する判断をしておきながら、地震から生じうる災害について何らの有効な対策を講じておらず、その任務懈怠により大きな損害を生じさせました。従って当然ながら、これを賠償すべき責任を負うものと考えます。
 同時に取締役は、地震に伴い発生した津波に対する適切な対策措置を、長期間にわたって怠ってきたことを看過しました。そのことがなければ、本件過酷事故は発生しなかったでしょう。
 取締役は、2002年ころから、東電が行った試算や各種機関からの報告等があったにも関わらず、地震が発生した際に設計上の想定を超え、敷地を遡上し得る大津波への適切な対策措置を講じることを怠りました。これは会社に対する取締役の善管注意義務に違反しております。
 次に代表例を示します。

 1 文部科学省の地震調査研究推進本部の調査・評価
ア 文部科学省の地震調査研究推進本部の見解(2002年7月)

 文部科学省の地震調査研究推進本部は、2002年7月に「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」という文書において、M8級の地震が三陸沖から房総沖にかけて起こりえるとしています。

イ 東電試算(2008年春)

 東電は地震調査研究推進本部の前記長期評価における見解を受け、2008年4月から5月ころ、明治三陸地震(1896年発生)並みのM8.3の地震が福島県沖で起きると想定し、福島第一及び第二原発に襲来する津波の高さを15.7メートルと試算しました。また、延宝房総沖地震(1677年発生)が福島県沖で起きた場合の津波の高さも同様に試算し、その結果、襲来する津波の遡上高が福島第一原発の南側の1号機から4号機で13.6メートルにまで及ぶものとの試算をしました。しかも、これらの試算結果は、2008年6月頃には、取締役も把握するところになっていました。取締役は、これらの試算結果に基づき速やかに適切な津波対策措置を講ずるべきでした。

 2 米フロリダ州マイアミでの研究発表(2006年7月)

 東電は上記の長期評価を受け、津波の高さの確率論的な評価手法を研究し、福島第一原発に押し寄せる津波の高さについての解析を進めました。これを「マイアミ報告書」といいますが、これによれば東電研究チームは、慶長三陸津波(1611年発生)や延宝房総津波(1677年発生)などの過去の大津波を調査し、予想される最大の地震をM8.5と見積もりました。そして13メートル以上の大津波も0.1%ないし、それ以下の確率で起こり得るとしました。さらに東電は土木学会の原子力土木委員会・津波評価部会が2002年に発表した「原発の津波評価技術(2002年)」に基づき、福島第一原発の設計津波波高を5.4~5.7メートルに設定しました。
 すなわち取締役は、2006年7月の段階で、このような重大な内容の試算をしながら、東日本大震災が起きるまで福島第一原発について敷地を遡上する大津波に対する対策措置を全く講じなかったのです。

 3 貞観地震をもとにした試算(2008年12月ころ)

 東電はまた、宮城県沖から福島県沖で貞観11(869)年に発生したとされる貞観地震について、歴史書や津波堆積物に関する研究から、地震による津波の規模や被害が極めて大きかったことを認識していました。そして宮城・福島県沖で貞観地震規模のM8.4の地震が発生したことを想定した津波の試算を行いました。その結果、福島第一原発の取水口付近で波高8.7メートルから9.2メートルの津波が襲来するとの試算をしました。貞観地震に関する各種の調査報告が出ており、政府の審議会においても直接の指摘を受けていたにもかかわらず、東電取締役は貞観地震と津波の規模を評価し、必要な対策措置を講じることを怠りました。

 4 耐震設計審査指針
ア 新耐震指針の公表

 2006年9月に原子力安全委員会は、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を改定しました。「残余のリスク」に適切な考慮を払い、基本設計のみならず、それ以降の段階も含めて、この残余のリスクの存在を十分認識しつつ、それを合理的に実行可能な限り小さくするための努力を払うべき義務を課しています。すなわち、基準地震動に耐えられる設計をしただけでは免責されません。

イ 「原子力安全基盤機構」の報告書(2008年8月)

 新耐震指針が地震随伴事象である津波の影響を考慮すべき事項として指摘したことを受け、原子力安全基盤機構は2007年度から、福島第一原発のような沸騰水型や、加圧水型といった原発のタイプごとに、機器が津波を受けるケースなどを想定した解析を始めていました。そして2008年8月の報告書「地震に係る確率論的安全評価手法の改良」の中で、津波の影響で、冷却水用の海水ポンプが損傷した場合、最終的な熱の逃がし場を確保する海水冷却系が機能喪失し、炉心損傷に至る可能性があることを指摘していました。原発が津波の影響により内部電源を失い、さらに外部電源も遮断し、非常用ディーゼル発電機が機能喪失した場合には、全交流電源喪失が発生し、炉心損傷に至ることも指摘しておりました。
 しかし東電取締役は、何の対策も取りませんでした。

 5 適切な対策措置を怠っていたこと
 東電の試算及び各種機関からの研究報告から、取締役は福島第一原発には、地震により設計基準を超え、施設を遡上する高さの津波が襲来する可能性があり、かつ、そのような津波が生じた場合には、極めて高い確率で炉心損傷に至る可能性を十分認識できました。それにもかかわらず、取締役が海水ポンプや非常用ディーゼル電源等の重要設備について、水密性の補強工事を実施し、浸水を防げる場所に移設し、または分散配置してリスクを軽減する適切な対策措置を怠ったことは、原発施設における炉心損傷事故の発生を阻止すべき取締役としての善管注意義務に違反しています。
 東電取締役は、以上の善管注意義務違反により、今回の福島第一原発における炉心損傷の重大事故を発生させ、これにより広大な範囲に莫大な損害を生じさせ、ひいては東電に重大な損害及び損害賠償債務を負わせました。

3 地震に対する対策措置も怠っていたこと
 外部電源系の重要性及び地震に対する脆弱性は、耐震設計審査指針の改定の際のパブリックコメント等でも指摘されていたところであり、2010年6月に発生した福島第一原発の外部電源喪失事故に対して、2010年の東電株主総会においても、株主より外部電源の脆弱性について指摘がされておりました。それにもかかわらず東電取締役が外部電源系への耐震強化措置を講じたり、あるいは、同一系統や同一変電所に拠らない電源系統を準備したりするなどの適切な対策を講じなかったことは、原発施設における炉心損傷事故の発生を阻止すべき取締役としての善管注意義務に違反しています。

4 その他の善管注意義務違反
 上記に挙げるほか、取締役は、

1 水素再結合器の設置、建屋の強化など水素爆発事故に対する対策措置を怠っていたこと。

2 全交流電源喪失の事態に備えて、電源車等の代替交流電源確保のための措置を怠っていたこと。

3 シビアアクシデントに備えて適切なマニュアルを作成し、それに基づく訓練を行うことを怠っていたこと。

4 格納容器からのベント管に放射性物質を捕捉するフィルターを設置することを怠っていたこと。

等の善管注意義務違反があります。

 また、本年3月11日以降の事故進行過程において、

5 原子炉への海水注入を遅らせメルトダウンを招いたこと。

6 事故収束作業中に一旦、撤退を決定するなど作業に停滞を招いたこと。

7 ベントを不当に遅らせたこと等の数多くの善管注意義務違反があります。

 加えて、

8 汚染水の排水方法が杜撰であったこと。

9 原子炉のベントを実施するにあたり、大量の放射性物質が環境中に流出することは明らかであったにもかかわらず、その想定放出量や拡散地域について、周辺住民に適切な警告をすることを怠ったこと。

10 作業員の活動環境の整備が疎かであったことなど、まだ多数の問題が指摘されております。

5 包括的義務違反
 以上の個別的義務違反とは別に、東電取締役には、以下の包括的義務違反があります。
 1960年代後半には、地球は複数のプレートに覆われ、そのプレートの動きによるきしみによって地震が発生するというプレートテクトニクス理論が確立され、四つのプレートの境界にある日本では、世界平均の30倍以上の確率で巨大な地震が発生し、将来的にも発生することが明らかになります。従って原発の新設及び運転を控えるべき善管注意義務があるにもかかわらず、それに違反して、漫然と新設及び運転を続けています。

6 まとめ
(1)地震等によって想定される大災害について、その危険を認識しながら何らの十分な対策を講じることなく、過酷事故を招き、損害賠償債務の負担を含む莫大な損害を生じさせました。東電取締役は、その任務を懈怠したことによって会社に生じた損害を賠償する責任を負います。

(2)これまでの警告もしくは注意喚起及びそれらへの対策の決定は、原発における過酷事故の発生という重大な事態に関係する重要な事項であり、東電取締役会に議題として上程されなければなりません(会社法362条4項)。

(3)原発震災により被った損害は、少なくとも第三者委員会報告書の試算額の合計である5兆5045億円を下りません。東電取締役の行為は、会社法330条、民法644条の善管注意義務及び会社法355条の忠実義務に違反する行為であり、取締役は東電に対し、同法423条1項による損害賠償責任を連帯して負う義務があります。

(4)この過酷事故により、被害者の方々は、生命、身体、財産上の重大な損害を被り、職を失い、家を失い、故郷を失い、人生を不本意に変えられ、コミュニティーや家庭を分断され、あるいは破壊され、生きる希望を失いかねないほどの絶望感を味わい、塗炭の苦しみの中にいます。これらの被害の最大の責任者は東電取締役です。しかるに取締役は、個人的には全く財産上の責任を取っていません。このまま推移すると、取締役は何事もなかったかのように円満に定年退職をして、多額の退職金を受領し、関連法人に天下りするなどして、安楽な人生を送るということになります。それでは、原発被災者の方々の人生と余りにバランスを失し不公平であると考えます。

(5)この訴訟によって回収された金銭は、原発事故の被害者の方々に対する損害賠償として使用されることを要求します。

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