東電株主代表訴訟の裁判傍聴のお願いのチラシの裏面に「東電株主代表訴訟」のこれまでとして、今までの期日の概要を載せておりました。第40回口頭弁論期日を迎え、重要な事項を再度とりまとめたものと最近の期日の内容に留め、他はブログに残すことといたしました。
◆2011年11月14日
東電監査役に対して、歴代経営陣への「損害賠償請求訴訟」を起こすよう請求。
◆2012年3月5日
東電監査役の「提訴せず」を受けて脱原発の株主たちが、東京地裁に提訴
● 2012年6月14日 第1回口頭弁論
原告側4名による意見陳述
1、日本に原発を作ってはいけない理由。(河合弘之弁護士)
2、ハウ・ツー原発(原告 山崎久隆)
3、福島で被災し、避難生活をしている原告株主の訴え(原告 浅田正文)
4、長年株主運動をしてきた原告の訴え(原告 木村結)
● 9月13日 第2回口頭弁論
原告側代理人によるプレゼン
・「日本の原発の歴史と原子力ムラ」図解。(河合弘之弁護士)
・「福一事故の根本的原因と東京電力の責任」(海渡雄一弁護士)
● 11月16日 第3回口頭弁論
海渡雄一弁護士による前回のつづき「各種原発訴訟などによる『大地震を想定して対策をとるべき』との指摘を無視、規制当局とも癒着してシビアアクシデント対策等を先送りにしてきた」
● 12月13日 第4回口頭弁論
被告側から出された「津波予見性なかった」に対し、只野靖弁護士が反論…「何年にもわたり学会・委員会等の調査・研究報告等により津波の可能性を指摘され、東電自身の試算でも“津波対策”は不可欠であったとの結論にも拘わらず、十分な対策を取らなかったことは善管注意義務違反」
● 2013年2月21日第5回口頭弁論
被告側主張「国策で推進された原発であり、その運転について役員に責任なし」に対し、河合弘之弁護士が反論。地震・津波の研究が不十分であった時代に作られた『原子力基本法』に依拠した論理は既に時代遅れ。憲法で保障された生存権や個人の幸福権追及の観点からも違法。
● 4月12日 第6回口頭弁論
裁判官の交代により、今までの口頭弁論についての報告(海渡雄一弁護士) 原発事故により、行方不明者の捜索ができないまま避難せざるを得なかった浪江町の無念を詠んだ二階堂晃子さんの詩集から「生きている声」の朗読も。
● 6月5日 第7回口頭弁論
これまでの予見可能性から「結果回避可能性」 の追求へと進展(河合弘之弁護士)「防災施設をつくろうとすると、費用も労力も膨大なので……」と対策を怠っていた事を反省してみせる東電タスクフォースだが、これまでの被告らの主張とは矛盾。
● 9月26日 第8回口頭弁論
主観的予見可能性(被告ら個々の予見、もしくは予見可能性)について(海渡雄一弁護士) 2002年からの諸研究や中越沖地震の教訓等から、被告らは炉心溶融事故を十分認識可能。3.11の4日前には東電自ら過去の明治三陸沖地震を踏まえた15.7mの試算結果を保安院に報告している事実。
● 12月19日 第9回口頭弁論
被告取締役らの予見可能性についての補充(只野靖弁護士)貞観地震津波について、2002年の長期評価発表のずっと前から学者らによる地道な調査・ 研究が進んでいた。また、『日本三代実録』の貞観津波の表現から3.11の甚大被害がうかがえる。
● 2014年4月17日 第10回口頭弁論
準備書面(8)個々の取締役の認識について(金裕介弁護士) 被告らは、本件過酷事故の可能性について警告となりうる、①国が行った評価や指示、②東電自らの試算、③国内外で発生した原発事故の存在及び内容等、全て把握し認識しているはずであり、東電のタスクフォースでさえ、津波対策が不充分だったとして、被告らの責任を指摘している。
● 6月19日 第11回口頭弁論
被告側準備書面(7)への反論及び大飯原発運転差止判決の重要性(河合弘之弁護士) 被告側は確実な地震・津波予測がなければ何の対策もしなくても良いと主張するもので福島事故はこうした東電の考え方が遠因と言える。「(原発事業者には)その被害の多きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められる」とした大飯判決を大いに参考にすべき。
● 7月31日 第12回口頭弁論
被告らが準備書面で指摘する会議や勉強会の要事項の資料を提出せよ(海渡雄一弁護士) 本件の被告でもある勝俣、武藤、武黒らの「刑事責任を問うべき」とした同日の東京第五検察審査会の議決書を、証拠として提出する旨の予告(河合弘之弁護士)
● 9月25日口頭弁論 第13回口頭弁論
原告側準備書面(10)について説明(河合弘之弁護士) 原発を持つ会社の役員には特別な義務がある。事故の可能性について自社で調査・試算しながら対策を怠っていたことが「吉田調書」で明らかになった(被告らは試算結果について知らなかった等と述べているが、2008年6,7月の被告らの出席する会議で当面の対策をしないことが決定されていた)。
● 12月4日 第14回口頭弁論
進行に関する意見(河合弘之弁護士・海渡雄一弁護士)&被告側弁護士の応戦。 文科省の地震調査研究推進本部(=推本)が予想した深刻な津波高試算に基づく対策(長期評価)を検討しながら、東電は後に土木学会に検討依頼、推本の試算結果を握りつぶしたことの指摘。訴訟能率化のための原告側提案=「勝俣、清水、武黒、武藤、小森以外の被告取締役が『政府事故調』調書開示に同意すれば訴え取り下げる」旨の念押し
● 2015年1月29日第15回口頭弁論
補助参加人第10準備書面に対する意見陳述(海渡雄一弁護士)・補足説明(河合弘之弁護士) 推本の試算を握りつぶした土木学会「津波評価部会」を“国内有数の専門家集団”などと勝手な権威付けをするが、電力関係者で構成され、安全対策を遅らせる口実にしてきたことは東電自身が良く認識しているだろう。被告らが安全対策への出費を惜しんで土木学会へ依頼したことは明らかである。
● 3月19日 第16回口頭弁論
補助参加人第10準備書面への反論(金裕介弁護士)東電側は、福島県沖海溝沿いの津波地震発生を予測した専門家知見は「長期評価」だけと言うが、1997年時点で既に福島第一原発の沖合で13.6m越えの津波可能性を指摘する調査がある。そもそも長期評価は、様々な機関等で採用されており、一民間機関たる東電が無視してよい基準ではない。
● 4月30日 第17回口頭弁論
甲89-90号証・意見陳述(海渡雄一弁護士)
福島原発告訴団から告訴された被告らを、東京地検が不起訴処分とした根拠は、10メートル盤を大きく越える津波の予見は神ならぬ身にはムリだというものだが、国土庁と日本気象協会が1999年3月に行ったシミュレーションで、一般防災の観点から、8メートルの津波で福島第一1号機から4号機が水没するとの試算結果
● 6月18日 第18回口頭弁論
裁判所の勧告によって提出された東電側内部文書についての指摘・追及(海渡雄一弁護士) 2008年に福一の「津波対策は不可避」と認識、「推本の予測を 否定することが難しい」とも記されたこれら東電側文書は、機密性が高いとして会議録も作らず、配布資料も回収するなど、内容に信用性があり、「津波は想定外」は嘘だったことは明白。
● 7月24日 第19回口頭弁論
前回提出された東電側内部文書に関する再求釈明。被告等の政府事故調ヒアリング記録について文書提出命令申立(海渡雄一弁護士&河合弘之弁護士) 東電が必要性を認識していた福一の津波対策を土木学会に依頼までに1年、さらにその回答期限を約3年後にした理由は何?
● 9月25日 第20回口頭弁論
原告側準備書面(14・15)本件被告でもある東電旧役員らを起訴する旨の検察審査会の議決書からの新事実と津波対策を先延ばした被告らの責任。 求釈明及び文書提出要請-3(甫守一樹弁護士&海渡雄一弁護士)大津波対策を進めていた東電だったが2008年7月方針変更。他電力に比べ耐震バックチェックが異常に遅いことを気にした被告らが、世間を欺こうと腐心した様子が東電提出の会議メモ等からも明らか。
● 11月5日 第21回口頭弁論
原告側準備書面(16)・時系列表提出。
原告側代理人の海渡、只野、河合各弁護士が被告らに『政府事故調』ヒアリング記録開示への同意を求め、裁判長も被告側に再度の検討を促す
● 12月24日 第22回口頭弁論
東電側第15準備書面陳述 『事実経過表(時系列表)』に東電、被告等に認否記載を裁判所が要請。重要な部分の認否が欠けていると裁判所も指摘。『政府事故調』記録の文書提出申し立てについて文書管理者である内閣官房副長官補から意見書。少なくとも被告武藤、清水、小森が調書を取られていたことが明らかになった。
● 2016年2月4日 第23回口頭弁論
被告代表者、原子力担当グループから第3準備書面(予見可能性の否認)、東電より第16準備書面(原告らマイアミレポートの読み方への反論)
相変わらず『政府事故調』聴取記録の開示に同意しない被告ら、開示を拒む文書所持者(内閣副官房補)。東電から提出された証拠(東電提出の耐震バックチェック中間報告に向けた想定問答集)と準備書面3の矛盾点を海渡弁護士・河合弁護士が指摘&追及。
● 3月24日第24回口頭弁論
原告側準備書面(17)(補助参加人の第15準備書面への反論および求釈明)。被告らの政府事故調ヒアリング調書について、未曽有の原発事故に関する 調書は実質的に公開が前提であり、文書提出命令は認 められるべき(甫守一樹弁護士)、事故当初の被告らの調書がないまま、本人尋問しても真相究明につながらない(河合弁護士、海渡弁護士)
● 5月12日第25回口頭弁論
準備書面(18)(長期評価の信頼性)『大津波襲来可能性 についての知見』(甫守一樹弁護士) 福一事故の損害賠償請求訴訟での島崎邦彦氏、佐竹健治氏、都司嘉宣氏ら専門家の証言からも『長期評価(2002年)』は 原子力事業者が検討すべき重要な知見であり、新聞報道もあって当時から世間にもよく周知されていた。最新知見の軽視と津波対策を怠った被告らの責任は重大。
● 7月7日第26回口頭弁論
準備書面(19)(IAEA技術文書)の説明(甫守一樹弁護士) 2015年に国際原子力機関(IAEA)の福島事故報告書も、東電は巨大地震や大津波は予見できたし、炉心溶融事故を防ぐ対策はできたと指摘している。
● 9月8日第27回口頭弁論
原告側:請求額の拡張申請(被告らは連帯して9兆0482億1300万円を会社に支払え)、補助参加人・原告側準備書面(18)への反論提出
● 10月13日第28回口頭弁論
原告側準備書面(20)(津波対策の懈怠)東電の安全文化への批判(甫守一樹弁護士) 裁判所が、『政府事故調』‘ヒアリング調書'の所持者である国(内閣府政策統括官)に対し、被告らや関係者の文書の提出命令を出す可能性に言及。年内メドに判断。
● 12月15日第29回口頭弁論
原告側準備書面(21)提出(東電第20準備書面への反論)国際原子力機関(IAEA)の技術文書まで『事実誤認』などと自己都合で解釈している東電を批判(甫守一樹弁護士)
● 2017年1月19日第30回口頭弁論
文書提出命令申立却下に対し原告側即時抗告(2月22日即時抗告棄却・却下)。今後、本案は裁判所が主張の整理へ。原告側は福島第一原発検証の申立予定。真相の徹底究明こそ司法の役割である(海渡雄一弁護士)
● 3月2日第31回口頭弁論
文書提出要請4事故以前の客観的書類の開示要請(海渡雄一弁護士)、福島第一原発現場検証申出(河合弘之弁護士、只野靖弁護士)。3月末には裁判所より争点整理骨子案提示予定。
● 4月27日第32回口頭弁論
大竹裁判長以外の左右裁判官交代にあたり、弁論の更新手続き(裁判官交代の場合、新しい裁判官のもとでもこれまでの訴訟活動を維持する措置)この裁判のポイントにつき意見陳述(海渡雄一弁護士)。被告を勝俣、武黒、武藤、小森、清水に絞り、他22人に対する訴え取り下げ。ついにギア・チェンジで本質に迫る。
● 6月1日第33回口頭弁論
原告側準備書面(22),(23),(24)提出。
被告取締役らが予見できた安全設備を浸水させる規模の津波と、福島第一原発事故との因果経過を、より詳しく説明するよう裁判所は求めた。請求の拡張申立 (経済産業省『東京電力改革・1F問題委員会』の見積もりで損失額約22兆円……約9兆円→22兆円に) 一度の事故で失った国家財産の損失額は増える一方。(河合弘之、海渡雄一、甫守一樹、大河陽子各弁護士)
● 7月20日第34回口頭弁論
準備書面(25)(予見の対象について)。証拠説明書甲220~221。文書提出要請5(海渡雄一弁護士) 福島原発告訴団による強制起訴事件(刑事裁判)で出てきた証拠から、『事実経過表』への補充申し入れ。238点から成る同裁判の証拠から60点を選び、補助参加人及び被告・勝俣、武黒他に対して関係書類の提出を要請
● 9月14日第35回口頭弁論
準備書面(26)(刑事裁判冒頭陳述)、証拠説明書甲222、文書送付嘱託申出(海渡雄一弁護士)刑事事件の第1回公判で明らかになった事実を踏まえ、主張を補充。推本の長期評価に基づき、2009年6月までに津波対策をすることは被告らが出席する会議で了承されていたが、多額の費用を理由に被告・武藤らは、方針を変更し対策を怠った。
● 10月26日第36回口頭弁論
準備書面(27),(28)陳述。 文書提出要請6提出 (甫守一樹弁護士) 裁判所は刑事事件の進捗を差し支えのない範囲で共有し、それを踏まえて本件の審理を決定するとした。
● 12月21日第37回口頭弁論
準備書面(29),(30),(31)。 主張の補充(甫守一樹弁護士) 福島原発事故の損害賠償訴訟判決で長期評価にもとづく 東電の予見可能性が認められていること。被告勝俣らは津波リスクを認識していたこと、東電にとってのリスクは過酷事故ではなく、安全対策して原発の稼働効率が落ちることだったこと。防潮堤、水密化、非常用配電盤・可搬式機材の高所配備、原子炉一時停止により事故を回避できたこと。原子炉一時停止は特別のことではないこと。
● 2018年 2月1日第38回口頭弁論
準備書面(32)を中心に説明。(海渡雄一 弁護士)刑事事件の第2回公判の証人尋問で新たに分かったこと・防護壁工事は難しいが不可能ではない他)同裁判で新たに300件の書証を採用した。刑事記録の取り寄せについて、刑事裁判所の判断が慎重姿勢との報告。
● 3月22日第39回口頭弁論
準備書面(33),文書提出要請(7),上申書(文書送付嘱託)について陳述(甫守一樹弁護士) 予見対象となる津波の基礎となる1)明治三陸、2)延宝房総沖、3)貞観の計算結果から、当然に10m盤を超えて全電源喪失(メルトダウン)に至らしめる津波を予見できたと主張。東京電力はリスク管理委員会及び原子力リスク管理会議、本件原発に襲来した津波の再現解析モデルの資料を提出せよ。
● 5月17日第40回口頭弁論
準備書面(34)提出
原告ら、被告らの主張を整理した「事実経過表」更新。 裁判所は、福島原発事故の集団訴訟判決における、前橋地裁、千葉地裁、福島地裁の「結果回避可能性」についての捉え方の違いに注目、議論の価値があるとした。
刑事記録の取り寄せについての進展は見られず、刑事裁判所が慎重姿勢をとる理由の「核物質防護」の観点は理由にならない旨、原告側からメモ提出することとした。
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