11月21日
たいへん遅くなりましたが、前回と前々回の口頭弁論期日のご報告です。
10月31日 第50回口頭弁論期日
50回も口頭弁論をやったのか、との感慨を皆さんも持たれたことと思います。
今回の口頭弁論は、11、12月の証人尋問はしない、1月の結審、3月の判決はないという重要な決定がなされました。
進行協議の内容は公表できないのですが、これまでの方向性は、来年3月末までには判決ということでした。
ところが、9月20日に勝俣らの刑事裁判の不当判決が出されたので、その判決文の内容を精査し、反論をしなければならなくなりました(判決要旨は発表されましたが、判決文はまだ公表されていないのです)。裁判長も当然なこととの認識で、刑事裁判の判決文が出されたら、被告から提出されることを確認しました。
被告代理人からの「まだ出されていない。年内にはと思う」との報告を踏まえて、当初の口頭弁論の日程は変更され、来年3月の判決は先延ばしになったということです(なお、判決書は11月8日に被告らから書証(乙第127号証)として提出され、次回期日で証拠調べなされる予定です)。
前々回の口頭弁論から、裁判長の「やる気」が見られるようになりました。
これまで何度もしてきた、2008年2月16日の御前会議において山下氏がプレゼンをしたときの「添付資料」の存在確認を、再度口頭で行いました。
この添付資料は、7.7mの津波について説明したもので、刑事裁判において被告は「覚えていない、記憶にない」と供述し、刑事裁判所は重要視しませんでした(刑事裁判にも証拠提出されていません)。
しかし、この添付資料が明らかになれば、山下氏の御前会議での報告は「長期評価」に基づいた初めての津波の想定変更の報告であり、これを「覚えていない、記憶にない」は通用しなくなります。
この時点では7.7mですが、このあと15.7mという報告が続くので、ここでの「津波認識」は重要な証拠になります。また、「長期評価」に基づいた津波試算をしていることの「認識」は、「長期評価」を「受け入れた、無視できない」との報告でもあったのです。
ですからこの「添付資料」の内容と存在は、重要な証拠になる可能性があるのです。
東電は、この御前会議のファイルにはこの添付資料はない、とその存在自体を認めていません。しかし、この添付資料の作成者はいるはずであり、作成時のデータは作成者が保存しているはずです。それは誰なのか、その確認を要求しているのが現在までの経過です。
以上、重要な口頭弁論でした。(原告:堀江)

9月26日 第49回口頭弁論期日
103号法廷
この日、少し遅刻をしまして、すでに、弁論は始まっていました。海渡弁護士が、2月16日の御前会議資料の「添付資料」について、「誰が作ったか?保管はどこか?御前会議に配布したのか?それを担当に尋ねたのか?」などを東電側の弁護士に問いただしていました。が、禅問答のような噛み合わない返答を東電側は述べるばかりで、裁判長が間に入って、原告らは書面で提出し、東電側も書面で回答するようにと述べました。
その後、甫守弁護士が準備書面(41)と(42)について、主に9月19日の刑事裁判の問題点をパワーポイントを使ってわかりやすく解説。
(実は、記録を引き受けたのだからと、あらかじめ準備書面に目を通そうと思ったのですが、148ページ、119ページと膨大な資料で、ページ数を確認した程度で終わってしまいました、、、)
いつもの原告席でなく傍聴席の方に座っていたため、前方がよく見えました。パワポが始まると裁判官3人はいっせいに体を斜めに向けて注視された姿がちょっと絵になっていました。
ところが、右陪席の裁判官は途中から、目をそらし机の上の資料などを見たりパラパラとめくったりという態度でした。裁判長と左陪席の裁判官は最後まで熱心に見ていました。被告側の弁護士もまあまあ見ていたと思います。
記者会見
原告/堀江さん、弁護士/河合さん、甫守さん、大河さん
メディアは多く、記者が10名、映像担当が6名。
(記者の多さに比べてその後の報道はどうでしょうか?目にしていません、、、)
◇甫守弁護士・河合弁護士;
裁判所は11月末か12月ごろ、証人尋問を入れようとしているが、原告側からの主張や反論もあるし、被告側からの刑事裁判の判決書の提出がいつになるかわからない。今後のスケジュールが変わるかも知れない。
平成 20 年 2 月 1 6 日の御前会議 (中越沖地震対応打合せ)の中で、「添付資料」参照は何か?文書作成者(パワポを作った土木グループの3人)に確認したのか?と質問したが、彼らは逃げている。
869年の貞観津波について、福島原発事故の民事の損害賠償請求訴訟では、横浜の裁判以外とりあげていないが、参考にしている。こちらの裁判では、長期評価の問題と共に、主要な観点である。
結果回避可能性(さまざまな津波対策は十分間に合った)について、すでに意見書も提出している元東芝の原発技術者・渡辺敦雄さんを証人として申請予定。
これからの進行として、安易に考えれば刑事裁判の判決をなぞれば簡単に書ける。右陪席は最初からいる人だが、来年の春までなので、裁判長はなんとか右陪席に書かせたいつもりのようだ。元々刑事事件と民事は違うのだが。
◇堀江原告代表 ;
刑事裁判は灰色判決でなく、真っ白で無罪。どう考えてもおかしい。なぜ、検察は起訴しなかったのか? 検察審査会を経てやっと起訴になった。
我々もマスコミもこれできちんと目を覚まさないと。
我々に対し、世界に対しても挑戦だ。刑事裁判において、隠されているのが明らかになっても、あの判決とは! 正常な社会に戻していきたい。
◇NHK記者;刑事裁判の判決書きを、裁判長は気にしているのか?
◇河合弁護士;普通は10日間ぐらいで出てくるが、いつになるか?
刑事事件においては、判決がされてから正式な書類はあとでよいことになっている。
◇堀江;刑事裁判判決のひどさを出さないと民事にも関係する。
◇河合;今日の朝日の記事「15.7m来ると教えられなかった(専門家から経営陣は?)。学者に聞いて回ったが、すぐに止めろとは言われなかった」
情報を隠しておいて、これはないだろうと思った。
報告会&学習会
12:30~ 衆議院第1議員会館 多目的会議室 参加者約50名
◇甫守弁護士;「東電刑事裁判判決を受けて」と題し、法廷でのプレゼンを交えながら、より具体的でわかりやすい報告が行われました。詳細は動画をご覧ください。
~その日の法廷の異様な風景
・傍聴人が入る時、厳しくチェックされた
・衛視(監視)がいつもの3倍ぐらいの人数がいて、法廷をぐるりとにらんでいる感じだった
・永渕裁判長は、始まるとすぐに3人を前によび「あ、いずれも無罪です」。その後、3時間半にわたって、無罪の理由を述べた
~福島の現状
・大量に発生し続けている汚染水
・除染された廃棄物、フレコンバッグ等が1400万個ある
・除染土の再利用計画
・避難者の帰還の問題、福島県が避難者を提訴する
・原発から4キロの所に55億円をかけて伝承館を作る
などなど、”放射能安全安心神話”の広がりと、被害者が住居を奪われている過酷な状況について訴えました。
冒頭、2人の女性の写真を並べられました。1枚は福島から避難されているUさんの写真。判決の翌日の新聞に掲載された涙の横顔です。
もう1枚はアメリカのスリーマイル島原発事故40年のセレモニーのときの写真(2019年3月)だそうです。40年前、たまたまスリーマイル島を訪れたときに被曝された女性の顔。*写真については動画をご覧ください。
「核の悲劇と悲しみは時間と空間を越えて同じように映し出される」と説明されました。
(原告:向井)
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