7月7日
昨日は被告本人尋問でした。傍聴に来てくださったみなさま、ありがとうございました。
海渡雄一弁護士より、ご報告です。
いよいよ大詰めを迎える株主代表訴訟 6日は被告たち4名の尋問でした
海渡 雄一
昨日は、東電株主代表訴訟について、武藤氏に対する原告側の反対尋問、武黒、勝俣、清水氏に対する被告側の主尋問でした。
武藤氏の反対尋問は私と甫守弁護士が担当しました。
武藤氏は、多くの社内の津波対策関係文書を渡されたけれども読んでいないと繰り返し、2008年6月10日と7月31日の武藤氏のために開かれた津波対策に関する会合で配布された、経営幹部に津波対策の実施を求めるために部下たちが作成した資料についても、「推本の長期評価には根拠がないということだった、細かい説明はされてないし、内容についての質問もしていない」との答えに終始しました。
期日後の記者会見
このような反対尋問を踏まえて行われた、その後の裁判官の補充尋問は、3人の裁判官が合計で一時間程度の厳しい尋問が行われました。
〇推本の長期評価の信頼性を検討するためには、推本自体に根拠を確認できたはずで、土木学会に丸投げする前に社内の手順がきちんと踏まれていないのではないか、〇長期評価に根拠があるかどうかわからなかったので、土木学会に検討を依頼したというのであれば、長期評価に根拠があれば、想定津波は変えなければならず、そのまま運転を続けることは安全とは言えないのではないかなどの、被告らの責任を判断するうえでの極めて重大な問いかけがなされました。
このやり取りについて、時事通信の報道でも、「武藤氏は尋問で、長期評価について部下から根拠が不明と聞いたと主張。「(長期評価は)新知見ではなく意見だ」と強調した。尋問では、朝倉裁判長が長期評価を軽視した当時の東電の対応を疑問視する質問もあった。」と報じられています。 私としても、確かな手ごたえを感じることのできる、尋問結果を残すことができたと思います。
次は、7月20日10時から午後5時まで、武黒、勝俣、清水氏に対する原告側の反対尋問が予定されています。法廷は103号法廷です。傍聴席がコロナのために、半分に減らされているため、抽選は激戦ですが、次回でこの裁判の主な証拠調べは終了です。
残るのは健康上の理由で証拠調べが延期されている小森元常務取締役、原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター長(2008年当時の福島第一原発の所長)氏の尋問、福島第一の原発サイトへの現地調査が10月、最終弁論が11月に予定されており、事件として結審される見通しです。
私たちが被害者代理人を務める東電刑事裁判の控訴審の期日も、11月2日と決まりました。ここでも、裁判所が現地調査を実施するか、推本の長期評価の信頼性について、あらたな証人を取り調べるか、2008年から水密化や電源の移設、防潮壁などの津波対策を始めていれば事故の結果を回避できたかについて、原発技術者の証人を取り調べるかなどが問われることになります。
福島原発事故とは何だったのか、だれが責任を問われるべきかを裁くこの2つの裁判を、今後も引き続きご注目下さい。
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