文書提出命令の申し立てについて

12月2日

文書提出命令の申し立てに関し、年内に裁判所の判断が出ると言われています。
申立から、最近提出された書面をアップします(既に掲載済みのものもありますが、再掲いたします)
なお、年度がかわって組織変更があったため、今年度より文書所持者、監督官庁が変更しています。

2015年7月24日文書提出命令申立て
2015年12月18日 意見書(1)内閣官房副長官補(文書所持者)
2016年1月8日 意見書(1)内閣官房長官(監督官庁)
2016年2月9日 意見書(2)内閣官房副長官意見書(2)内閣官房長官補
2016年3月18日 原告 意見書(文書提出命令関係)意見書⑴⑵への反論)訂正申立書
2016年5月9日意見書(3)内閣府政策統括官(原子力防災担当)意見書(3)(内閣総理大臣安倍晋三) 
2016年7月14日求意見書(裁判所)
2016年8月31日 意見書(4)内閣総理大臣(監督官庁)

▼以下、新たに提出されました。
2016年10月25日 報告書(1) 添付資料 内閣府政策統括官(原子力防災担当)
2016年11月10日 報告書(2) 添付資料 内閣府政策統括官(原子力防災担当)

前回期日、学習会参加者の感想紹介

1月10日
前回期日、学習会の参加者のみなさまの感想を紹介します。
アンケートへのご協力感謝いたします。

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12月24日報告集会&学習会(参議院議員会館)


H.H.さん(横浜市
海渡弁護士、福田弁護士の話ともに明快かつシャープ。
「一喜一憂しない」はその通り!だ。

T.K.さん(豊島区)
裁判報告:東京電力を追いつめた弁護士の努力に拍手。
学習会:国と東京電力の責任を最後まで追及し、被災者の支援する努力(支援法)が必要。
どちらも非常に勉強になった。ありがとうございました。
自公政権をたたきつぶすことが、一番早道だろう.政府の責任を追及しよう。

K.K.さん(府中市)
福田さんのお話、勢いがあって、ぐいぐいと引き込まれました。
ただ、肝心の訴訟の話が、駆け足になったのが、ちょっと残念でした。

第五検察審査会の議決に見る「起訴議決」に至った核心部分 山崎久隆


原告でもあり、たんぽぽ舎の山崎久隆さんより、脱原発・東電株主運動ニュースより、転載いたします。
長文になりましたが、ぜひお読みください。

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6月18日の口頭弁論期日後の記者会見




 7月31日に公表(議決は7月17日)された第五検察審査会(検審)議決文書は、結論の妥当性に加え、驚くべき事実認定が行われていたことはあまり知られていないようだ。
 人を刑事被告人にするのだから、推測や予断で罪を問うことはあってはならない。それは冤罪を生み出す構図に他ならない。そのため検審は物的証拠を積み上げて、少なくても勝俣、武藤、武黒の3名については罪を免れないと考え、起訴議決を行った。その論拠は、これまで知られていた以上に具体的で決定的な「犯罪事実」の認定であった。
 私たち市民は、いかなる事実を隠ぺいされていても、強制的に調べる術など持っていない。だから検察には公正な捜査を期待するのだが、巨大企業や国策事業では、まともな捜査がされないことが往々にしてあったし、さらに特定の団体や
人物について、犯罪事実もないのに強制捜査を行う「国策捜査」も横行してきた。ビラ配りで住居侵入事件をでっち上げるなどは典型だろう。従って、検察の捜査が公明正大ではないことが普通だったし、原子力という国策事業で、検察庁がまともな捜査活動を行うことは期待できないと思う人も沢山いた。だからこそ、本当ならば事故直後に東電など関係機関に強制捜査に入るべき警察、検察が動かなかったことも「やはりそうか」と、心底腹立たしかった。
 検審は市民が構成しているからといって、正しく調査し、正当な判断を下してくれるかは、未知数である。しかし刑事責任を追及すべく立ち上がった市民による「福島原発告訴団」の働きかけや申し入れ(激励)行動は、大きな支えになったに違いない。
 東京地方検察庁が「不起訴」とした東電取締役等の「業務上過失致死傷罪」に関する事実関係について、検審がいかなる「核心的事実」を見つけたから起訴に至ったか。検審議決書から読み解く。なお、検審議決文書は『』としているが、要旨を変えずに要約していることをお断りする。また、水位については「O.P.+7.7メートル」などは全て「7.7m」と表記している。

 東電取締役の認識は

1 『2006年9月19日、原子力安全委員会は耐震設計審査指針を改定した。
その中で津波対策は「地震随伴事象に対する考慮」として「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」を「十分に考慮したうえで設計されなければならない」とされた。保安院は各事業者に対し、新指針に照らした耐震安全性の評価を実施して報告を求める「耐震バックチェック」を指示した。「バックチェックルール」では、津波の評価につき、既往津波の発生状況のみならず最新の知見等を考慮して実施することとされていた。』
◎この点で重要なのは、既往最大など、起きたことのある津波だけを相手にしていては不十分であるとされたことだ。それまでの津波対策は既往最大の津波しか対象にしていない。現実に福島第一原発はチリ地震津波(1960年)に基づき3.122mを想定し、それに十分耐えられるとして、5.7mにしているから全く問題外なのである。

2 『東電は土木学会による2002年の津波評価技術に依拠し、推本の長期評価については土木学会の津波ハザード解析の研究を待つという対応であったが、新指針の策定に伴う耐震バックチェックに当たっては、推本の長期評価の取扱い
について改めて問題とせざるを得ない状況になった。東電土木調査グループでは長期評価に基づいて試算すれば想定津波の水位を大幅に上回ることが予想され、2007年7月に新潟県中越沖地震が発生した後は柏崎刈羽原発の運転停止が東電の収支を悪化させていたこと、推本の長期評価に基づく津波評価を行った結果で対策工事を実施すると、津波への安全性が疑問視され、最悪の場合は運転停止せざるを得ない事態になり、東電の収支をさらに悪化させることが危倶された。』
◎既に中越沖地震で大きな被災をした東電は福島第一、第二原発が動いていても2年連続赤字に転落した。同時に太平洋側の津波評価を長期評価を元に行えば、どちらも浸水を免れない結論に達する。2002年に発生した杜撰で違法な検査と報告違反事件に起因し、全原発が止まる事態を経験していた東電は、これには従うわけにはいかないと判断をしたのだろう。この時期は2006年にも発覚した第二の東電不祥事に揺れる中での津波対策と地震対策とのダブルパンチに見舞われていた。
 東電不祥事の際、東電原子力センターと何度も議論を繰り返してきたが、鮮明に覚えているのは、彼らの姿勢である。
 格納容器の下の圧力抑制室に様々な「ごみ」が散乱していたときも、配管の熱応力を逃がすための「焼鈍」処理の後の検査をごまかしていた時も、常に口にしたのは「安全上問題は生じない」ということだった。要は「些細な間違い」「手順ミス」「情報公開の遅れ」などであって「安全に関しては何ら違反行為はない」としていた。これが「安全神話」の実態だ。東電自らが「安全マインドコントロール」に置かれている。これが津波についても何ら根拠もなく「来るわけがない」と信じ込むことにつながった。要は「我々には、もっと大事なことがある」ということなのだろう。

3 『東電は耐震バックチェックを2009年6月に終了させる予定でいたが、2007年11月頃、土木調査グループにおいて耐震バックチェックの最終報告における津波評価に推本による長期評価の検討が開始され、東電設計との間でも試算の打合せがされた。そして関係者の間では、少なくとも2007年12月に耐震バックチェックへ長期評価を取り込む方針で進められることになった。』
◎長期評価を最終報告に取り込むことは、津波を考慮した対策を耐震バックチェックで実施することを意味する。浸水高15.7mを想定すれば、直ちに福島第一原発は対策なしでは運転不能になる。この程度の対策は原発を運営する事業者にとっては、最低限の義務であり、だからこそ社内外の検討チームは、それを前提とした。どんな企業にも「真面目に法令遵守しよう」と考える従業員はいる。それを曲げてしまう経営層(または上司)に対して、まともに上申してもらちがあかないとなれば「内部告発」になる。東芝粉飾決算事件や東電不祥事で明るみに出た事件の一部も内部告発だった。しかし、この津波対策については残念なことに、それはなかった。

4 『2007年11月19日、東電設計からは推本の長期評価で津波水位が7.7m以上となる試算結果が出された。2008年2月16日に実施された東電「地震対応打合せ」では、土木調査グループから被疑者3名らに報告されるとともに、それに関する資料が配付された。2月26日に、ある教授から「福島県沖海溝沿いで大地震が発生することは否定できないので、波源として考慮すべきである」旨の指摘を受け、3月18日に東電設計から長期評価で明治三陸沖地震津波の波源モデルを福島県沖梅溝沿いに設定した場合の最大水位が敷地南部で15.7mとなる旨の試算結果が出された。』
 『2008年3月20日に実施された東電の地震対応打合せでは、耐震バックチェックの中間報告書の提出に伴うプレス発表に関して作成された想定問答集が報告され、津波評価を充実するよう指示され、同月29日に実施された東電の地震対応打合せでは、耐震バックチェックの最終報告において推本の長期評価を考慮する旨が記載された修正済みの想定問答集が報告され、了承された。』
◎最後のチャンスが、この時期かも知れない。2007年から8年にかけて、もはや推本の長期評価を無視し続けることが出来ないことは、外部専門家からも明示的に指摘された。このシミュレーションがいわゆる「お打ち合わせ資料」として後に公表された資料だ。これを見ていても対策を支持しない経営陣は、故意に事故を招き寄せたというべきものだ。

 長期評価への方針を変更

1 『2008年6月10日、土木調査グループの担当者は武藤栄に対し、津波が15.7mに達するとの試算結果を報告し、対策として敷地上に防潮堤を設置する場合には10mの敷地上に約10mの防潮堤を設置する必要があると説明した。武藤は、いくつかの検討を指示したが、7月31日には土木調査グループに対し、これまでの方針を変更し、耐震バックチェックは推本の長期評価は取り入れず、土木学会による2002年津波評価技術に基づいて実施するよう指示した。
推本の長期評価については土木学会に委託して検討することとした。この方針を、津波評価部会の委員や保安院にも理解を得ることなどが指示され、10月には、それらの了解をおおむね得ることができた。』
 『8月22日、東電の土木調査グループは、東電設計から推本の長期評価を用い、房総沖地震の波源モデルを福島県沖海溝沿いに設定した場合の津波水位の試算結果が敷地南部で13.6mとなる旨の結果を受領した。』
◎2008年には既に10m盤に10mの防潮堤という具体案が示されていた。これが今回の最も重大な事実認定である。最高到達点が20mの防潮堤は、13ないし15m級の津波対策として考えられたものである。これは5.7mないし8mならば「10m盤を越えないから問題ない」となる。過去の姿勢と全く違う。つまり東電のこれまでの説明は全面否定されるのだ。
 ところが方針は土壇場でひっくり返された。常識的には「武藤栄よりも上位者から待ったが掛かった」と考えるのが普通であろう。
 この時点で防潮堤建設を決定していたら、原発は動かせなくなる。運転を止めることは、この国ではとてもハードルが高い。とにかく稼働率が低い、特に沸騰水型軽水炉は浜岡、志賀、女川、柏崎刈羽どれをとっても地震(対策を含む)や事故や不祥事で止まり続けていたため、何が何でも動かせ、といった圧力が国から掛かっていたことは容易に想像できる。言うまでもなく原発がほとんど止まっても電力不足にならないことを知られたくないのと、発電原価が安いという神話が崩壊することを恐れたからであって、安全よりも経済性や国策の維持のためにのみ原子力行政を進めてきた国の意向も、防潮堤建設への阻害要因になっていた。
現在の再稼働が危険きわまりないのは、この姿勢が全く変わっていないことも理由の一つである。もちろん、だからといって東電取締役の責任がいささかも減じるものではない。

2 『2008年10月、東電の土木調査グループは別の教授から貞観津波の数値シミュレーションに関する原稿を渡されたが、11月には貞観津波についても耐震バックチェックには取り入れず、土木学会の検討に委ねる方針となった。東電設計は貞観津波の波源モデルを用いた津波水位の試算結果が8.6m~9.2mとなるとの結果を受領した。』
◎これが、20mクラスの防潮堤でなくても敷地が冠水しないことを説明出来るデータとなっていたのだろう。「念のため行ったシミュレーション」においても、10mを超えないという結果だと保安院に報告することになる。もちろん、何の言い訳にもならないことである。逆に言えば、10mを数値目標として、それ以下になるようにシミュレーションを操作することくらい簡単にできてしまうことを証明したのではないか。この評価手法と同様な津波評価が日本中の原子力施設で横行しているのではないかと私は疑う。

3 『2009年6月の東電の株主総会本部長手持資料には、福島地区の津波評価として、巨大津波に関する知見として、推本の長期評価と貞観津波について記載され、これに伴う津波を考慮すると敷地レベルまで達し、非常用海水ポンプは水没する旨が記された。』
◎この年の株主総会では、「脱原発東電株主運動」が福島第一原発のうち、古い1~3号機の廃炉を議案提案している。提案では主に地震による被災に焦点を当てていた。また事前質問に対しても津波に関して、こういう回答はされていない。
この想定回答は、8.6m~9.2mの津波に対してであろう。15.7mもの高さの話ではないから、推本の説明に対する回答にはならない。すなわち虚偽答弁書を準備したことになる。

4 『原発の運転を停止して安全な津波対策を検討した場合、想定される津披水位を前提にしてかなり余裕のある対策を講じるととになるはずである。』
 『2000年2月に明らかとなった電事連の調査結果では、想定の1.2倍の津波が発生すれば浸水してしまう。日本で最も津波に対する余裕が少ない原発であり、耐震バックチェックのヒアリングでも、津波評価で「設計上の想定津波水位」と「非常用海水ポンプ」との余裕が少ないとの問題提起されていた。2008年6月、被疑者武藤に対する報告では、推本の長期評価「最大値15.7m」を報告し、合わせて原子炉建屋等を津波から守るために10mの敷地上に約10mの防潮堤を設置する必要があることなどは説明されていた。』
 『東電は推本の長期評価、それに基づく試算結果を踏まえ、既に約20m(10m盤+約10m)となるような防潮堤を設置する対策案は上がっていたのであり、これを行っていたら少なくても津波の浸水を回避することは十分に可能だったことがわかる。』
◎検審の結論部分である。これまでの説明を結論としてまとめたうえ、さらに踏み込んで「原発を止めておけば災害を回避できた」ことも指摘した。刑事事件として立件するに足りる根拠としては、十分と言えるだろう。

 原発を止めていれば・・・

 前例として浜岡原発1号機と2号機がある。76年と78年にそれぞれ運転開始したが2009年1月30日には廃炉になっている。実際には1号機の水素爆発事故が2001年に起きており、その後動かすことなく廃炉になっている。2号機も2004年に止めている。いずれも福島第一1から5号機と同様のマークI型格納容器を持ち、炉心損傷に余裕のない原発だ。同時に大きな地震と津波に襲われた場合の安全余裕もほとんどないため、大規模改造が必要となるが、それに費やす費用が3,000億円と巨額になることも廃炉を決める要因になっている。
 同様に福島第一でも、原子炉を止ておいて、冷静に検討を重ねていれば、今回の原発震災を免れた可能性は高かったが、3号機がプルサーマル原子炉であったことや40年超運転の認可(高経年化技術評価)を1号機が終わっており、次の2,3号機も準備していたことも運転強行の背景にある。
 老朽炉も裏を返せば、多くの設備の減価償却が終わってコストを掛けずに発電できる施設だ。もちろん、負担すべき安全対策をカットしたら「さらに儲かる」設備になる。中部電力は、それを思いとどまった。おかげで5号機が大きく揺さぶられた駿河湾の地震では1、2号機は「止まっていた」。なお他号機が破壊される危険はあったから、褒められた話などではない。
 東電は運転を強行したので3.11原発震災になった。多数の市民と事故対策要員を死傷させた原因は、東電取締役の浅はかな経営姿勢である。

9月25日 第20回口頭弁論期日

8月12日

次回口頭弁論期日と、報告集会&学習会のお知らせです。



9月25日第20回口頭弁論期日

裁判報告・学習会


7月31日に、東京第五検察審査会は、元東電幹部ら勝俣、武藤、武黒の三人に対し、起訴議決の判断をしました。
いよいよ刑事責任が公判廷で問われます。
次回期日では、東電から提出された証拠や、この間政府事故調ヒアリング記録等で明らかになった事実を踏まえ、原告らの主張の整理した書面を提出予定です。

裁判報告では、弁護団より金裕介弁護士による期日の内容や今後の見通しなどを解説します。
学習会では、2006年に金沢地裁の裁判長として北陸電力志賀原発2号機の差止を命じた元裁判官で、現在福島で子どもの脱被ばく訴訟や若狭の原発の差止裁判で活躍中の井戸謙一弁護士を迎えます。

多くの方に傍聴に来ていただきただき、この訴訟の社会的関心の高さを示すとともに、未だ福島第一原発事故の被害は続いていることを裁判所に対してもアピールできればと思います。
周りの方にもぜひご紹介してください。
150925.jpg

下記チラシより

スケジュール
9:30~ 原告によるアピール 
  東京地裁正面玄関前(霞が関駅A1出口を出て裁判所に向かう通りの前辺り)
  ▼東京地裁
  東京都千代田区霞が関1-1-4
 (地下鉄東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」A1出口から徒歩1分,地下鉄東京メトロ有楽町線「桜田門駅」5番出口から徒歩3分)
  ▼地図
  http://www.courts.go.jp/tokyo/about/syozai/tokyotisai/index.html

10:30~ 第20回口頭弁論期日
       東京地裁101号法廷
※12:00~12:45 福島原発告訴団の検察審査会激励行動

13:15~14:45 期日後の報告会&学習会
    ※12:45~13:15 参議院議員会館入口で通行証を配布します。
     裁判報告 金裕介弁護士(東電株主代表訴訟弁護団)
     学習会 「司法と市民の力で時代を切り拓こう」 井戸謙一弁護士
 
会場:参議院議員会館講堂(予定)(地裁より地下鉄で1駅) 
大きな地図で見る

▼チラシ(ドロップボックスからPDFファイルが開きます)
表面
裏面

第19回東電株主代表訴訟口頭弁論期日報告

8月10日
前回の期日の報告です。


第19回東電株主代表訴訟口頭弁論(2015.7.24)報告
 SH380600.jpg
 前回口頭弁論では東京電力の提出した証拠によって、「想定外の津波による原発事故」説は見事に覆された。
 今回は、「2008年7月末に被告らが津波安全対策の必要性を認識しつつも、その後3年近くにわたりほぼ無為のまま時間を浪費した」のは何故かを問い質すとともに、政府事故調ヒアリング調書の更なる開示を求めて文書提出命令申立書を提出した。相手方は次回期日までに上記質問に回答することと、「*中越沖地震対応打ち合わせ(後で詳述)」の補充書面を準備することが指示された。裁判所は次回期日までに訴訟の争点の確認や原告と被告の双方が補充すべき点などを指示する旨を述べた。原告団は、事件の真相解明への裁判所の並々ならぬ意志の表れと受け止めた。

 口頭弁論の後の記者会見では、海渡、河合両弁護士が、本日の経過と今後の展望などを説明した。原告で東電株主代表訴訟事務局長の木村結さんは、事故前から津波は想定されていたのに「想定外」が相変わらずまかり通っていることは遺憾だ、そこで一人でも多くの人に真実をわかってほしいという強い思いからチラシを作ったと語った。このチラシとは「津波は想定外ではなかった」と書籍『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない』がテーマの、カラー両面刷りの親しみやすい漫画風イラストで構成されたものだ。また、吉田調書の記事を書いた朝日新聞記者たちの窮状は午後の学習会でも触れられ、一同の胸を打った。事故から4年以上が経ち原発推進派が盛り返しつつあるなか、当訴訟の重要性をあらためて感じた。

 午後は、参議院議員会館で海渡雄一弁護士が、「東電・国の刑事・民事責任を追及する福島原発告訴団と株主代表訴訟の闘いの現段階」というタイトルで講演を行い、実は津波や事故が「想定外」ではなかったことを分かり易く解説した。概要は以下の通り:
●2002年2月に出た電事連の「津波に関するプラント概略影響評価」は、阪神淡路大震災の2年後の1997年に通産省(当時)が出した指示に対応したもので、福島第一と島根1、2号機が津波に対して最も脆弱だと指摘した。この指摘や同年に政府地震調査研究推進本部(推本)が出した、10m超の津波が福島第一を襲う危険性を示した地震予測(長期評価)、そして2004年末のスマトラ島沖地震・大津波で被災したインド南部のカルパカム原発のことなど、いずれも教訓にされていない。また2007年中越沖地震により柏崎刈羽原発内で起きた約3000か所の故障の事例なども教訓とはならず、事故は防げた/防げるだろうという慢心だけを残した。
●2008年には東京電力において15.7mの津波予測が推本試算結果を基に算出され、武藤らによって一旦は検討されたが対策は見送られた。まもなく寿命を迎える老朽原発に多大な時間や費用をかけられないと判断したのだろうか……。しかも、この試算結果の保安院への報告は2011年3月7日まで3年近くも滞った。にもかかわらず、清水正孝元社長の「想定外」という言葉の蔓延を助長した。この発言を直ちに糺さなかった保安院の責任も重い。更に、この試算結果は事故後も5か月間明かされず、8月になって読売新聞のスクープにより一般に知らされた。こうして、「想定外」は人々の記憶に留まったまま今に至る。
●一方、貞観の津波を巡っての保安院と東電の不適切な関係は、時代劇の悪代官と金満商人の悪だくみを彷彿とさせる。2006年9月には保安院とJNESによる「第54回安全情報検討会」において津波対策が不十分ならば「不作為」を問われるとする報告に対し、保安院は何らの対策もとらず東電への指示もしなかった。また、貞観津波の計算水位では福島原発の敷地高を超えると指摘する佐竹健治東大教授の最新論文は2008年10月に東電に届き、翌2009年6月の耐震バックチェック会議でも岡村行信氏(地震専門家・耐震バックチェック委員会委員)によって取り上げられたが、東電も保安院も当面の無策を決め込んだ。このとき、名倉繁樹審議官は、津波対策の必要性を何度も質す岡村氏に対し、中間報告でなく最終報告に盛り込むから津波発言は慎むよう促した。更に、小林・保安院審議官の政府事故調調書には、自身の当時の「ちゃんと議論しないとまずい」発言に対し、野口哲男・原昭吾の両審議官は「保安院と原子力安全委の上層部が手を握っているから余計なことはするな」「あまり関わるとクビになるよ」とコメントした、と記録されている。そして、2010年3月24日付で森山義範審議官が小林、野口、原審議官らにメールを送ったが、その中身は、貞観クラスの津波で福島原発が水没する危険性への対策にバックチェックでは時間がかかるなどの弊害があり……、という趣旨だった。
●2008年9月の「耐震バックチェック説明会(福島第一)」で配られた議事メモには、「津波に対する検討状況(機微情報のため資料は回収、議事メモには記載しない)」や「津波対策は不可避」などの問題表現がある。それにもかかわらず東電は、まず必要な津波対策よりも「電力で固めた言いなり組織」である土木学会 原子力土木学委員会 津波評価部会への検討依頼という時間稼ぎを選んだ。この「津波対策は不可避」などの重要情報は当時の最高幹部らにも十分伝わっていたと思われる。実際、勝俣社長(当時)以下の幹部が出席した翌2009年2月の*中越地震対応打ち合わせでは、武黒本部長(当時)と担当者の間で、「女川や東海はどうなっているのか」「女川はもともと高い位置に設置されており、東海は改造を検討中である。浜岡は以前改造しており、当社と東海の問題となっている」というやりとりが交わされた。また、そこでは、清水社長(当時)の「バックチェックと耐震強化工事を並行でやっているという姿は見せなければならないのではないか」などのとんでも発言もあった。この会議で配られたメモに見られる手書きの書き込み(「問題あり」「出せない」「注目されている」)を書いたのは誰かなどを含めた会議の詳細の解明が待たれる。なお、こうしたメモのことは福島原発告訴団の告訴に対する検察審査会の起訴相当議決がきっかけで分かった。被告らの希望で現在も未公表の会議メモを裁判所が東京電力に提出を要請してくれなければ闇に葬られるところだったが、ついに日の目を見ることとなった(もっとも証拠契約により一般に公開はできない)。
SH380604.jpg

 講演後、結審まであとどれくらいかかるだろうかという質問があった。今年最後の口頭弁論日がクリスマスイブなのでうれしい贈り物への期待が高まるが、結審まであと1年くらいというのが海渡弁護士の予想だ。これからは被告の本人尋問などを経て事件の核心に迫っていく。政府事故調ヒアリング調書の開示が進めば一層のスピードアップが期待される。

追記1:講演後に原発関係報道・出版の低調傾向についての意見・質問があったが、この間発売されている書籍として、以下の書籍名があがった。『法服の王国』(黒木亮)/『ザ・原発所長』(黒木亮)/『見捨てられた初期被曝』(岩波科学ライブラリー)/『原発労働者』(寺尾紗穂)/『シンドローム』(真山仁、禿鷹シリーズ第5弾、週刊ダイヤモンド連載開始)で、黒木氏の本は2冊とも海渡弁護士に縁のあるものだ。
追記2:今回の口頭弁論からちょうど1週間後の7月31日に東京第五検察審査会は、勝俣元会長、武藤・武黒両元副社長を業務上過失致死傷罪で2度目となる「起訴議決」を出した。原発事業者に「想定外」は許されない、と判断されたのだ。これをもって、3人の東電元幹部は強制起訴されることになった。今後開かれる刑事公判と東電株主代表訴訟の両法廷で、福島原発事故の真相と責任のありかがより鮮明になるだろう。
下線は筆者が追加
原告加藤 記
プロフィール

NoNukes0311

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